“その場ですぐに直す”が自発的に勉強する子を育てる
第4の条件は、「同期発火」(編集部注:「これはこうだ」と考えたことが相手の脳にも伝わっていくこと)をうまく利用することです。
私はかつてある予備校の先生から相談を受けました。そこに通う生徒の親から「うちの子は全然勉強しない。どうしたらいいですか」と言われたというのです。その子の偏差値は30だそうです。どこを受験するのかと聞くと、有名校の名前を出しました。
そのとき私がアドバイスしたのは、毎日10問ずつ問題を出して、間違ったら目の前ですぐに直す習慣をつけていくということです。後から直すのではなく、その場ですぐに直す。
そういう習慣をつけたところ、30の偏差値が69まで上がり、東大でも受かるのではないかと評判が立つほどになりました。その子も自信がついて、自分で参考書を買いに行くようになりました。それを知った親が驚いて、「うちの子、参考書を買いに行ったんですよ」と言ったそうです。お母さんにしたら、参考書を買いに行ったこと自体が驚きだったのです。
ポイントは、目の前ですぐに直すということ。後からというのは許さない。家に帰ってから、というのもだめです。そうしたら、子どもがなかなか正解できないので夜の10時になっても家に帰れないと音を上げた先生もいました。確かに、いつ成功するかわからないわけですから先生には根気が必要です。
しかし、できた子の手を取って先生が感謝をしたら、勉強する子だらけになったそうです。これは先生と子どもで同期発火が起こった結果です。そういう中から偏差値69の子どもが生まれてきたのです。
“正確なイメージ”を描けるように訓練を重ねる
第5の条件は、「正確なイメージが潜在能力を発揮させる」ということです。自分が思う通りに能力を発揮するためには、そのイメージを強く持つことが非常に効果的なのです。
問題は、正確なイメージはどうやったらつくれるかということです。私たちは物事のありのままを記憶するのではなく、その物事のイメージを頭の中でつくり上げ、それを記憶しています。これを「イメージ記憶」と言いますが、人間の記憶はすべてこのイメージ記憶によって行われています。
しかし、あくまでもイメージを記憶しているため、自分の記憶は絶対間違っていないと思っていたのに、実は勘違いだったということも起こりえます。
たとえばゴルフというのは、大体間違ったイメージでやっていることが多いスポーツです。ですから、なかなか上達しないわけです。このような場合、正確なイメージをつくるためには、何度も繰り返し同じ作業を重ねていくことです。正確なイメージを描けるようになるまで訓練することが大事なのです。経験を積めば積むほどボールの軌道の記憶が蓄積されていきます。その中から成功したときのイメージ記憶を蓄えていくことによって、正確性が高まっていきます。