頼まれたら「2秒以内に行動」
潜在能力を発揮するための第2の条件は「頼まれたら2秒以内に行動を起こす」ことです。本書で「2秒の法則」(編集部注:間をおかず、考えるよりも先に動くこと)ということをお話ししましたが、そのことです。
私は脳外科という仕事柄、行動がすごく速いのです。遅れると患者さんの命にかかわるので、すぐに行動を起こす大事さが身にしみてわかっています。
「先生のところに相談に行くとすぐに答えが返ってくる」とみんなが言いますが、「すぐに行動する」ことによって、私は潜在能力を発揮しているのです。「後でしよう」というのでは力は出ません。「いつやるか? 今でしょ!」という林修さんのフレーズはまさにその通りで、潜在能力を発揮するための金言です。
これを子どもに習慣づけたら、間違いなく優等生になります。脳の仕組みを子どもが知らなくても、すぐにやるという行動を身につけてしまえば放っておいても立派な人間になっていきます。
第3の条件は「考えを一つに絞って勝負する」ということです。集中力は前向きな気持ちから生まれます。いろいろ考えるから、雑念が起こって失敗するのです。
スポーツでも勉強でも、「ここが勝負だ」というときには「きょうは自分の日だ」と考えて、勝負に勝つという一点に集中する。それによって、潜在能力を発揮して桁違いの力が出るのです。
優等生というのは、「失敗しないように」と考えてしまいます。そのため、練習でも勉強でも守りの練習、守りの勉強になっています。自己保存の本能で恥をかくのが嫌だから、失敗しないことを第一に考えるのです。
「自分は優等生ではなく、タダの人」と認める
勝負に勝つためには攻めなくてはいけないのですが、優等生は基本的に守りに徹して勝負をしません。だから、自分を超えられないのです。確かに失敗しないから優等生と言われるわけですが、それを超えたら、もっと凄い能力を発揮できることを知りません。
私は競泳の日本代表チームに、この「優等生は勝てない」という話をよくしました。では、どうすればいいのですかと聞かれたので、「今の練習の仕方は間違いだと自分で言いなさい」とアドバイスしました。「自分はただの人間じゃない。優等生は守りの練習をするけれど、自分は違う」と、はっきり口に出して言うことが大切なのです。
優等生というのはある環境にいるときに優等生なのであって、本当はタダの人です。それを素直に認めることが大事です。自分がタダの人だと認めるからこそ、桁外れの練習ができるようになるのです。
人間というのは、ある面では謙虚でいないといけませんが、ある面では自信を持ってやらなくてはいけません。威張り散らすというようなことではなくて、人間は正直に生きなくてはいけないと思います。その場だけの優等生になろうとするのではなくて、自分はタダの人だと思って桁違いの努力をする。それによって潜在能力が鍛えられて、本当に凄い人になれるのです。