恋愛感情がエスカレートし、暴力沙汰に
恋愛感情というのは一度持つと根深いものです。施設内での不適切な関係など、閉鎖された環境によって起きてくるトラブルもあります。恋愛の場合はセクハラのように悪というわけではありません。しかし、相手が拒絶しているのに執拗に追い回してしまうというのは問題行為です。
難しいのは、往々にして本人には追い回している意識があまりないということです。好きな施設入所者の男性がスタッフの女性と話しているところを見て、嫉妬して暴力をふるってしまう、などのように、エスカレートしてしまうと問題です。
性的なトラブルといっても、必ずしも体の関係を求めるものばかりではありません。特に女性は、恋愛感情を持った相手に体の関係を求める傾向が、男性と比較すると低いということも分かっています。
最も多いトラブルは「アダルトサイト」
高齢の親を見守る子世代は、自分の親は高齢だから性的なことにはもう興味がないだろうとは決して思わないことが大切です。施設などの環境でなければ問題ないのかというと、そうでもありません。自宅でのトラブルもあります。特にそちらは金銭的な問題もかかわってきます。アダルトサイト・出会い系サイトの使用や、それらに伴う高額請求の問題です。
国民生活センターが実施した60歳以上の消費生活相談調査(2016年)で、高齢者の相談の1位は何だったかというと、アダルトサイトの利用に関するものでした(※)。
※独立行政法人国民生活センター「アクティブシニアのトラブル増加!60歳以上の消費者トラブル110番」平成28年(2016年)11月2日
2位はパソコンサポート、3位は医療サービスなのですが、高齢になって起きてくる体の数々の不調に対応してくれる医療サービスより、なかなか慣れなくて操作がおぼつかないパソコンのサポートより、アダルトサイトの相談が多かったのです。
あなたが50代の男性だったとして、インターネットで若い20代の女性から「ぜひ会いたい。好きです」と言われたら、どう思うでしょうか。ついつい舞い上がるでしょうか? インターネットに慣れている人なら、最初は「詐欺では?」「まさかそんなことが」と思うでしょう。
けれどもインターネットに慣れていない高齢者は「そういうこともあるかも」とついつい思ってしまいます。70代になっても20代の女性と知り合えると本気で思ってしまいます。もちろん世の中には現実にそういうケースもあることは事実です。ただ、非常にまれであり、そういう出会いで費用が発生する場合は、一度は詐欺を疑うべきです。