子どもへの告知は「早めに丁寧に」

生活のストレスを減らすためには、その準備として、子ども本人に「きみにはこういう障害があるんだよ」ということを伝える、本人に自覚してもらう必要があります。

この「障害告知」は、親にとっても子どもにとってもセンシティブで難しい1つの関門です。私もかなり悩みました。できるだけ正しい情報を、できるだけ理解しやすく、そしてむやみに傷つけないように伝えなければなりません。

発達障害動画メディア『インクルボックス』で取材した専門家の多くは、「早めの障害告知」を勧めています。そこで、発達障害との診断を受けた頃から、息子と話し合いながら情報共有をし続けてきました。

「きみは“発達障害”という、ほかの人と少し違う特徴を持っているんだよ」

どんな特徴なのかは発達検査で具体的に知ることができます。世界中で用いられている“WISC(ウィスク)”ウィクスラー式知能検査は、現在、5つの指標で構成されていますが、息子が受けた時は4指標でした。そこから全体の知能水準が算出されるという検査です。

・言語理解(VCI)……言葉による理解力、推理力、思考力。
・知覚推理(PRI)……視覚情報を把握し推理する力。視覚情報に合わせて体を動かす能力や対応力、解決力にも影響。
・ワーキングメモリ(WMI)……一時的に情報を記憶しながら処理する能力。学習能力や集中力に関わる。
・処理速度(PSI)……視覚情報を処理するスピード。切り替えに関係。
・全検査IQ(FSIQ)……総合的な知能水準。

言語理解力と情報のインプット力が高数値

この検査で見ているのは点数の高低というよりも「バラつき」です。4指標は、誰しも得手不得手がありますから、個人個人バラつきがあります。それ自体は問題ではありません。

発達障害の可能性があると判定されるのは、この4指標の点数の「高低の差が著しく大きい」場合です。その凸凹が大きければ大きいほど、生きづらさは大きくなると言われています。

息子は言語理解とワーキングメモリでとても高い数値が出ていました。言語理解の数値が高いということは、言葉の理解力や思考力が高いということ。ワーキングメモリは脳の中にある“黒板”のようなもので、一時的に情報を書き留めていく力です。

この数値が高いということは、一度に多くの情報を一時的に記憶することができる、ということを表しています。