先行研究から学んだ「失敗だけはしない方法」

息子の発達障害支援の勉強を始める時、「失敗だけはしない方法」をとることにしました。一個人の感想や成功事例では、当てはまる人もいるかもしれませんが、その逆もありリスクが高い。

一方で、論文が書かれている研究が進んだ方法や内容であれば、そのたくさんの先行研究を土台にできる――すなわち“巨人の肩に乗る”ことができます。このほうが失敗リスクが少なく、得策です。

論文からの知識に、発達障害動画メディア『インクルボックス』の活動を通じて触れた新しい知識や最新の理論を重ねていくことで、私は情報の多様性やアップデートを意識的に行ってきました。

さらに、発達障害の専門家である臨床心理士の村中直人先生に“弟子入り”し、発達障害を深く学び始めました。

学術論文や村中先生から得た知識や学びから、少しでも「息子のためになりそう」「効果がありそう」と思ったものは、自宅に持ち帰ってすぐに実践してみました。

まずはやってみる。生かしてみる。トライ&エラーの毎日です。

すると当然、息子と過ごす時間がどんどん増えていきます。発達障害に苦しむ息子を救いたいと悩む一方で、同時に息子と過ごせる幸せな時間でもありました。大変さの中で、成長や私の想像を超えた息子の発想を目の当たりにできる、やはり私にとっては「ワクワク」する時間です。私が自己紹介を書くとしたら、“趣味・特技”の欄は間違いなく「息子」になるはずです。

愛情を言葉で伝えることが親の務め

その中で、私が一番心を砕いてきたのは「二次障害を引き起こさない」ということ。私は、とにかくことあるごとに、息子が自己肯定感を上げられるような言葉をかけ、意識的に行動するようになりました。私は息子に毎朝毎晩、こう伝えるようになりました。

「今日も大好きだよ」
「お父さんのところに生まれてきてくれてありがとう」

彼がベッドに入る時には、

「今日もお父さんを幸せにしてくれてありがとう」
「君のおかげで、お父さんは今日も幸せでした」

多くの論文に「子どもは親の愛情を拠り所にし、安全基地と感じることで自尊心の向上やチャレンジ精神が養われる」とあるからです。何度も何度も“言葉にして”伝え続けることで、ほんのわずかずつでも息子の自己肯定感を引き上げてくれるんじゃないか。

「きみの生きている意義は、ここにあるんだよ」

思うことと、声に出して何度も伝えることは大きく違います。障害に苦しむ子どもに、愛情を24時間365日、明確に示し続けることができるのは親しかいません。それを果たすことは、一番大事な親の務め――私の務めだと思うのです。

両親と手をつないで歩く子ども
写真=iStock.com/RyanKing999
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