中国では資格制度がある

以前のマーケティングは、消費者に「欲しい」と思ってもらうことが重要でした。しかし現在はモノがあふれ、何かを欲しいと思えない時代です。商品を買うきっかけは何かといえば、「あの人がすすめているから」「あの人を応援したいから」です。こうした“ヒト消費”や“推し文化”は、日本だけでなく、世界的に広がっています。

特に貧しい国では、インフルエンサーは一発逆転が可能になる夢のある職業です。貧しい家庭で育っても、学歴がなくても、インフルエンサーとして成功すれば大金持ちになれるからです。

商品を買うきっかけが世界的に変化していると分析する森川さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
商品を買うきっかけが世界的に変化していると分析する森川さん

産業としての期待も大きく、資格制度を設けている中国では、インフルエンサーは「網紅ワンホン」と呼ばれ、地方創生にも活かされています。地方には仕事がないため、インフルエンサーを育成して農作物、魚介類など地域の特産品について情報発信を推奨しています。個人が豊かになり、地域貢献もできる素晴らしい職業として多くの人が目指しているのです。

C Channelが支援している方の中には、シングルマザーで気合い入れて頑張っている人たちがいます。インフルエンサーという職業は、なかなか仕事に就けなくて困っている人たちにとって光明を投げかけているといえます。

「人気商売」ではなく、起業家とほぼ同じ

ひとくちにインフルエンサーといっても、ビジネスの方法は多種多様です。初期の段階では、ネット上の人気者が自分のサイトやチャンネルで商品やショップを紹介し、企業などから広告宣伝料を受け取ることが中心でした。テレビCMに出演する芸能人やタレントのメディア機能です。

次に登場したのは、自分でEC店舗を運営し、商品を販売するインフルエンサーです。商品を仕入れるコストがあるので、リスクをとる流通機能をもったビジネスモデルです。

メーカーやショップとコラボして、商品を企画するインフルエンサーもいます。さらに進むと、自分で商品を企画して製造、販売まで管理しているインフルエンサーもいます。

中国には「1日に100億円以上売る」といわれるインフルエンサーもいます。大きな資産ができるので、好きなブランドの企業を買収して、自分が企画した商品を開発するといったこともできるわけです。

最近は視聴者からの投げ銭が主な収入という人も増えています。インフルエンサーという職業は、世の中にあるすべてのビジネスモデルが実現可能ではないかと思えるほど、多種多様なのです。