「つらい」「大変だ」「もう無理」という言葉を吐き出す

アドラー心理学では、逃げたいのに逃げられない周囲の同調圧力が煩わしければ、いますぐにでも関係性を切りなさいと教えています。

「せっかくこの会社に入ったのだから、辞めるのはもったいない」
「せっかくつき合い始めたパートナーと別れるのは怖い」

という気持ちを捨てて、その場から逃げるのは勇気の要ることです。

ひとりで抱えこまず、上司や親、友人、飼い猫、カウンセラーなど、だれでもいいので、「つらい」「大変だ」「もう無理」という言葉を吐き出してください。

休日にカフェで話す女性
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです

つらいのに、「私は大丈夫」「私は平気」と大丈夫なふりをして矛盾を抱えていてはいけません。

弱音を吐くことは、負けではないのです。

逃げるのを阻止する5つの要因

あなたが逃げることを阻止している要因があります。

何が逃げることを阻止しているのか、5つあげます。

1 恐怖による脅し

罰や脅しで相手に行動を起こさせない方法です。

「逃げたら、みんなに非難されるよ」「ここから逃げられると思うな」「会社にバラす」「SNSで拡散する」

これらは恐怖を植えつけるやり方です。これは脅迫罪になります。

一方で「良い脅し」もあります。

強要するのではなく、本人の行動変容につながるように、行動をそっと後押しする方法です。それが「ナッジ理論」(nudge)といい、「軽くつつく、行動をそっと後押しする」という意味です。

選択を強制せず(選択の自由を確保する)、あなたがより良い方向に行動できるように誘導するものです。

2 同調効果

みんなと行動を合わせておくとひとまず安心です。それは意識的な行動でもあり、無意識の行動でもあります。

社会で生きていくためには、守らなければならない社会規範があります。「逃げてはいけない」という暗黙のルールが同調圧力となって、そこから逸脱しないように行動するようになります。