「勇気をくじく行為」は日常にあふれている
これらは「あなたのため」ではなく、「自分のため」の考えです。
あなたの「逃げる勇気」は、簡単にくじかれます。
なかには心の底からあなたを応援したいと思っている人もいるでしょう。しかし、その応援の言葉がかえって凶器となり、あなたを追い詰めます。
「グリット」とは、困難にあってもくじけない闘志、気概や気骨などを表す英語です。社会的に成功している人たちが共通して持つ心理特性といわれています。
でも、「社会的に成功する」というのは、どういうことでしょうか。
世の中には、勇気がくじかれることが日常的にたくさん起こります。
「くじけちゃいけない」のではなく、「くじけてもいい」のです。
世の中には、勇気をくじく行為があふれているのですから。
言葉と行動が一致しないと矛盾してしまう
アドラー心理学では、困難を克服する活力を与える「勇気づけ」があり、5つの基本理論を提唱しています。
その5つを紹介しましょう。
①自己決定性
自分がどうしたいかは、自分で選択できる。
②目的論
人間は目的に向かって生きている。人の行動には目的がある。目的次第で人生は変えることができる。
③認知論
自分の受け取りたいように、目の前のことを自分だけのメガネを通して主観的に意味づけている。
客観的に物事を見る力(共通感覚)を身につけ、自分の物差しだけでなく、さまざまな視点で物事を見たり考えたりすることで、誤った思いこみに気づいて建設的に物事をとらえ直すことができる。
ただし、他人の目を気にしすぎていると、判断力と行動力が弱る。
④対人関係論
人間のあらゆる行動には、相手役がいる。
⑤全体論
理性と感情、心と体は、すべてつながったひとつのものと考える。「やめたいけどやめられない」のは、やめられないのではなく、「本当はやめたくない」という心理がある。
本来は人の心に矛盾はなく、言葉と行動が一致しない人は、自分で矛盾を作り出している。
心は「もう逃げたい」のに、「周りの期待に応えるためにがんばる」「親を悲しませたくないから、弱音は吐いちゃいけない」という矛盾を抱えていないでしょうか。