日中、動いていない人は夜眠れない

【2】座っている時間が長い

日本人は、座っている時間が世界で最も長い国民だと言われています。これも不眠の原因の1つ。というのも、歩数と睡眠の質には相関関係があるからです。

歩数が少ないとその分運動量も少なく、頭だけが疲れて体は疲れていないので、夜眠れないということが起こってきます。

私は睡眠不調のご相談を受けたとき、ご相談者の歩数を調べるようにしているのですが、ほとんどの人が1日に4000歩未満という結果になっています。この「4000歩」というのがポイントで、このラインを下回るとうつのリスクがグンと高まるともされているのです。

特にコロナをきっかけにテレワークが主流になった現代において、急速に不眠に陥る人が増えてきています。通勤もなくなり、ただでさえ少ない歩数がますます少なくなっているからです。

食事・仕事・寝る場所のすべてが自宅で完結してしまうので、気持ちの上でもメリハリが付かず、オフィスで仮眠をしているような状態になってしまうのでしょう。

気づかないうちに自律神経系が乱れている

【3】スマホ依存

うまく眠れないのは、本来覚醒すべきでない時間帯に目が覚めてしまうからです。

それにはスマホ依存が深く関わっています。何しろ日本人のスマホ依存度は世界で3番目(ライムライト・ネットワークス・ジャパン「デジタルライフスタイルの現状(State of Digital Lifestyle)」の2019年調査結果による)。これでは不眠になりたがっているようなものです。

ではどうしてスマホ依存が不眠の原因になるのでしょうか。それは自律神経系が乱れるからです。ここで少し自律神経系について説明させてください。

私たちの体には心臓の動きや体温の調節など、自分の意志とは関係なく働く機能があります。それをつかさどっているのが「自律神経系」です。

気温の変化に対処するため、暑いときに汗をかいて体温を下げたり、夜がくると眠くなったりするのは、この自律神経系の働きによります。

自律神経系には「交感神経」と「副交感神経」という2種類の神経が存在します(図表1)。この2種類の神経は、どちらかが優位になるとどちらかが引っ込むという形でバランスを取っています。

【図表1】「交感神経」「副交感神経」それぞれの役割
出所=『超熟睡トレーニング』(Gakken)