「焼きおにぎり、トースト」は意識して食べる頻度を減らす

ただし、糖化がAGEsにまで進んでおらず、ごく初期の段階であれば、たんぱく質はもとのきれいな状態にスムーズに戻ることができます。

糖化は、血糖値が高い状態が続いたり、血糖値が急上昇するような状態がくり返されたりすることで、じわじわと時間をかけて進んでいきます。

反対に、血糖値が必要以上に高くなるような状況を引き起こさなければ、糖化した細胞はだんだんと改善されていくのです。

そのために、大事なのは4つです。

1、食後の血糖値を上げすぎず、体内によぶんな糖をめぐらせないこと。
2、血糖値スパイクを引き起こさないこと。

1と2の実現には、血糖コントロールが有効です。

3、体内のAGEsを分解し、排泄できるような食べものをとること。

つい最近まで、「いったん生じたAGEsは排出できない」といわれてきました。ところが現在、糖化を抑えたり、AGEsを分解・排出したりする食べものがわかってきました。

4、焦げた食品はなるべく食べないこと。

料理の焦げはAGEsの一種です。焼きおにぎり、トースト、こんがり焼けたグラタンなど。これらの香ばしさは食欲をそそりますが、体内にAGEsを蓄積させる一因にもなります。ですから、食べる頻度を減らしましょう。

マカロニグラタン
写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです

「食べてはダメ」と禁じるのではなく、今よりも食べる頻度を意識して減らす。一方で、AGEsを排出できる食品を積極的にとっていきましょう。

こうした日々のちょっとした工夫で、脳細胞を劣化させるAGEsが体内にたまっていくのを防ぐことができます。

人体でエネルギーをつくる3つの方法

血糖コントロールがいかに大切なことか、ご理解いただけたでしょう。

一方、「糖質の摂取量を減らすと、脳がエネルギー不足になってしまうのではないか」という心配をぬぐえない方も多いかもしれません。

結論をお伝えすると、問題はありません。知っておきたいのは、人の体にはエネルギーをつくる方法が3つもある、という事実です。

1つめは「解糖系」という方法です。私たちが食事から糖質をとると、「解糖系」という回路が動き出し、ブドウ糖を使ってエネルギーを生み出していきます。

2つめは「糖新生」という方法です。体内のブドウ糖量が著しく減ると、体は体内にある別の物質を使ってブドウ糖をつくり出します。これを「糖新生」と呼びます。

3つめは「ケトン体回路」という方法です。ケトン体は、体に蓄えられた中性脂肪や、口からとり込んだ脂質を分解してつくられます。「脂質をエネルギーに変える回路」と覚えてください。

このケトン体は、細胞内にある小器官「ミトコンドリア」に入って解糖系より大量のエネルギーをつくり出します。ミトコンドリアとは、大量のエネルギーをつくり出す「エネルギー産生装置」。その働きが活性化すると、エネルギーの産生量も増大します。

しかも、1つの細胞に存在するミトコンドリアの数は100~2000個も。これらをすべて活性化できれば、エネルギーの産生量を爆発的に増やせます。

勉強に集中するためには、脳がしっかり働けるだけのエネルギーが必要です。そのためには、ミトコンドリアの働きがとにかく重要となってくるのです。

ただし、ケトン体回路は、糖質を大量にとっている状態では働きません。受験メシでは、糖質の摂取量を減らすぶん、良質な脂質をとることで、脳のミトコンドリアの働きを高め、エネルギーをしっかりとつくり出すことを心がけていきます。