ギャルで若者にリーチできるのか?

「おむすび」は“平成青春グラフィティ”路線とホームページにある。

確かに「パラパラ」や「ギャル文字」が何度も出てくるあたり、伝統的な朝ドラとはちょっと異なる。

若者の視聴率を狙ったのだろうが、そのギャルに共感できる人はどれぐらいいるのか。

「ギャルの掟」で【自分が好きなことは貫け】が登場し、制作統括はここに共鳴したというが、本当に視聴者はそこについて行くのだろうか。

【図表】両ドラマ1~2週の年齢別視聴率
※スイッチメディア「TVAL」データより筆者作成

なるほど第1週では反応した若者はいた。

1層(男女20~34歳)の視聴率は、「虎に翼」第1週より高く、しかも最終週より大きく上げていた。ところが第2週では2割が脱落し、「虎に翼」に逆転されてしまった(スイッチメディア「TVAL」データによる。以下同じ)。

ギャルの要素が若者に届かなかった理由は、ポストの内容でも明らかだ。

「ギャル? の設定で一気に失せる。これは酷い展開」
「等身大の若者の丁寧な描写なんて全然面白くないんよー」
「何故今時ギャルの必要性があるのか理解に苦しむ」

「ギャルの掟」は他に2つあった。

【仲間が呼んだらすぐ駆けつける】【ダサいことだけは死んでもするな】。ところが主人公・橋本環奈のセリフにも「くらだない」とあったくらいで、視聴者がこの展開に納得できないのは仕方ないだろう。

『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おむすび Part1』(NHK出版)
画像=プレスリリースより

かくして若者にすら届かなかったギャルという切り口は、中高年で大損失につながった。

F4(女性65歳以上)でみると、「虎に翼」は第2週で数字を上げていた。ところが「おむすび」では、1.2%も視聴率を失った。

「もう2週間経ったけど面白くないな~」
「くだらないギャルの事ばっかりでつまらないんだけど」
「朝からずーっとギャル……2週目で脱落しました」

朝ドラの主な視聴者は中高年だ。

ここで数字を大きく失い、結果として個人全体も0.4%超が消えてしまった。