男女間格差が小さいほど、男女両方の幸福度は高い

男女間格差と幸福度の関係について分析を行ったのは、モンマス大学のアンドレ・オーデット准教授らです(*1)

オーデット准教授らは日本を含む世界23カ国の生活全般の満足度と4つの男女間格差の指標の関係を検証しました。ここでの4つの男女間格差の指標には、ジェンダー・エンパワーメント指数、ジェンダー開発指数、ジェンダー不平等指数、そしてグローバルジェンダーギャップ指数が使用されています。これらの4つの指標は定義が異なるものの、いずれも男女間の不平等度を数値的に把握した指標となっています。

オーデット准教授らの分析結果をまとめると、次の3点となります。

(1)男女合計のサンプルを使用した場合、男女間格差が小さくなるほど、生活満足度が高まる傾向にあった。

(2)女性のみに分析対象を絞った場合、男女間格差が小さくなるほど、生活満足度が高まる傾向にあった。

(3)男性のみに分析対象を絞った場合でも、男女間格差が小さくなるほど、生活満足度が高まる傾向にあった。その影響の度合いは女性より小さいものの、大きな差はなかった。

以上の分析結果から明らかなとおり、「男女間格差の縮小は、性別に関わらず人々を幸せにする」と言えるでしょう。

オフィスでコーヒー休憩中の女性と男性
写真=iStock.com/DragonImages
※写真はイメージです

男女間格差が縮小すると女性の幸福度が高まる理由

分析結果が示すように、男女間格差の縮小は、女性の幸福度を高めています。この背景に関して、オーデット准教授らは女性の経済的地位の向上の重要性を指摘しています。

男女間格差が縮小し、女性が労働市場でより活躍するようになると、女性の経済力が向上します。この経済力の向上は、女性個人の幸福度を高めてくれるでしょう。また、女性の経済力の影響は、本人だけでなく、家族、特に子どもにもプラスの影響をもたらします(*2)。女性の稼いだお金が子どもの教育や健康へより配分されるだけでなく、女性自身のキャリアアップのための資金として活用されるようになるわけです。

このように男女間格差の縮小は、経済的地位の向上をつうじて女性の幸福度を高めると言えるでしょう。