成功のカギは「マクドナルド」「スターバックス」
3つ目の「“ローカル”である」というのは「文化の違い」に引っかからないようにするということだ。
いまの日本のバラエティに多い、芸人頼みの企画はNGである。ドッキリを仕掛けられたら芸人が「オイシイ」と感じるのは、日本独自のテレビ文化だからだ。欧米で同じような企画を放送すると、人権問題に発展しかねない。“どのような国や文化でも”制作ができる企画を作ることが、成功のカギとなる。
だが、一方で、まったくそのオリジナル国ならではの特色がないのも個性がなく、売れない。それは、典型的なグローバル企業の海外展開を考えてみればよく理解できるだろう。
マクドナルドやスターバックスは、世界中にフランチャイズ展開をするとき、必要に応じて「ローカル化」をする。コカ・コーラもその国の気候や国民の嗜好性によって炭酸の度合いを変えている。しかし、そのブランドが根本的に持っているアイデンティティやコンセプトはどこに行っても変わらない。コンテンツの「根幹」は変えてはいけないのだ。
フォーマットセールスも同じである。世界各国の視聴者に合わせた「ローカル化」をおこなう一方で、その番組のコンテンツブランドを守るための「オリジナリティ」は保持しながら、普遍性を高める努力をする。要は、ローカルに塗り替えられる、入れ替えられるようなフォーマットにしておくことが肝要なのだ。
海外を意識した「TESAKI」の仕掛け
例えば「TESAKI」の場合には、「ティーアップ・ビーンズ」で箸を使うが、この箸はフォークなどに応用可能だろうし、アジアはもちろん、いまや箸は日本人より使うのがうまい外国の人がいるほど普遍的だ。「ローリングダイス・タワー」のサイコロや「ピンホール・デスロード」の針と糸も日本文化の匂いを感じさせながら、文化が違う国においても充分に適用できる道具となっている。
そして4つ目の「“ゲーム的”である」だが、これは極めて重要な要素である。「TESAKI」のなかでももちろん、周到に用意されている。「ハイエナチャンス」と呼ばれるものだ。各挑戦者は競技が始まる前に「ハイエナカード」を一枚引く。中身は見えないが、競技の途中でこのカードを使うことができる。そして全員このカードの指示に従わなければならない。
書いてある内容は、例えば、「自分以外の全員の動きを1分間止められる」「選んだ相手と場所を変われる」「選んだ相手の成果をゼロにする」などだ。これによって、いままでビリだった弱者が逆転したり、トップを走っていた強者が最下位になったりする。
いわゆる「下剋上のカード」である。単に「技」だけではない、こういった「ゲーム性」や「偶然性」が入ることで、誰にでもチャレンジできる、誰でもはい上がれる「TESAKI」“独自の”競技となる。よく考えられている。これも“普遍的な”要素だからだ。