「作業興奮」を引き起こすスイッチを決めておく
人間には、作業興奮というシステムが備わっています。とある作業を始めると、心理的な興奮ややる気が生じるようにできているのです。
この興奮のきっかけとなるのが、指先や視覚から受ける刺激です。その刺激が脳に達すると、「側坐核」という部分がアセチルコリンという物質を多く分泌し、集中力を高めてくれます。
めちゃくちゃやる気が出なかったけれど、いざ始めてみれば何時間も集中して作業できてしまった、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これも、作業興奮が関わっていると考えられるでしょう。
勉強においても、この作業興奮が活用できます。特に、机に向かうモチベーションが低いときは大いに貢献してくれます。
ここでは作業興奮を引き起こすためのトリガーを、いくつか紹介しておきます。
・テキストを開いてみる
・ペンを持ってToDoリストを振り返ってみる
・スマホを机の引き出しの中にしまってみる
・パソコンで開いていたブラウザを閉じてみる
コツは、やる気がなくてもやれそうな、とても小さな作業を設定すること。スマホやパソコンの例のように、だらけてしまう習慣を断ち切るような作業は特におすすめです。
体の動作は作業興奮を引き起こすきっかけになりやすいので、意識して組み込んでみてください。
選択肢を減らして脳を疲れさせない
かのスティーブ・ジョブズは、毎日黒のタートルネックを着ていました。これは、毎日の服装に悩むことなく、その時間とエネルギーを他の重要な決定に集中させることができるという考え方に基づいています。
これは、勉強にも活かせると私は考えています。
着るもの/食べるもの/飲むもの/行く場所/使う道具/今日やること……、こうしたものをある程度パターン化し、選ぶことにかかるエネルギーを少なくすれば、勉強に充てられるエネルギーが増えるでしょう。
選択が脳の負担になるということは、科学的にも証明されています。コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の研究によると、「選択肢の数が多いほど、一度の選択で脳が消耗するエネルギーは多くなる」そうです。
この実験では、あるスーパーマーケットでジャムの試食を、ある日は24種類、またある日は6種類だけ用意し、どちらの購買率が高いのかを調査しています。
その結果、24種類用意した日の購買率はわずか3%でしたが、6種類だけ用意したときに訪れた客の購買率は実に30%に上りました。
あれこれ選べたほうがよさそうなものなのに、不思議ですよね。ですが、結果的に多すぎる選択肢は、かえって人々の選択や行動の意欲を削ぐということが読み取れます。