労働市場のセーフティーネットの整備が不可欠だ
総裁選を経て解雇に関する規制緩和が進むと、会社都合での解雇が増加する可能性はあるかもしれない。早期退職実施の企業が増える中で解雇規制が緩和されると、単純な意味で労働市場の流動性は高まるかもしれない。ただ、それだけでわが国経済の効率性が上昇するほど簡単な議論ではない。
雇用の不安定化を懸念する人が増える可能性も高い。すべての人が、雇用に関するリスクに自力で対応できるとは限らない。規制緩和に伴い解雇が増えた場合、自力で再就職先を見つけることが難しくなる人は増えるかもしれない。雇用への懸念は高まり、社会心理が不安定化することも考えられる。それは経済社会に大きなマイナスだ。
今後、政府は、労働市場の改革とともに、労働市場のセーフティーネットの整備を進める必要性がある。ハローワークの機能見直しや失業保険の在り方に加え、新しい技能の習得や再就職先紹介制度などが重要だ。それは、中長期的なわが国経済の成長に必要不可欠の条件だ。