コンタクト使用者はメガネも持つべき理由

Aさんの一番の問題は、連続使用を想定していない1dayのコンタクトレンズを長期間、使用したことです。

先に述べたように、1dayコンタクトは1日で使い捨てることを前提に設計されているため、何日も何カ月も使用することは想定されていません。一般的に1dayは2weekと比較すると耐久力が低いともいわれています。

Aさんは、目の不調を感じた時点で眼科にかかるべきでした。そうすれば、目薬だけで治療が事足りた可能性が高いです。また、コンタクトレンズの使用を中止してメガネにするべきでした。そうすればここまで深刻な状態になることはなかったかもしれません。

痛みが出るということは、逆に目の不調を体が教えてくれていたのです。その時点で、本来はメガネにかえるべきだったのですが、Aさんは持っていませんでした。

Aさんのようにコンタクトレンズだけを使用しているという方は結構います。メガネも買うと値段が高くなるということが理由です。

ただ、眼科医としては、コンタクトレンズを使用する場合は必ずメガネも購入してほしいのです。なぜならコンタクトレンズは、基本的には目にとって異物です。このように不調を起こすことが散見されるからです。

不調を起こしてもメガネがないからという理由でコンタクトレンズを使用しつづけるのは、症状を悪化させてしまうだけです。ですから「メガネだけ」または「メガネ+コンタクトレンズ」という状態はあっても、「コンタクトレンズだけ」という選択肢はないと思ってください。

メガネとコンタクトレンズ
写真=iStock.com/AtlasStudio
※写真はイメージです

「2week」にもリスクがある

コンタクトレンズには2weekというものもありますが、2weekなら1カ月使用しても問題ないというわけではありません。

どちらも基本的に素材は一緒です。HEMA素材やシリコンハイドロゲル素材などがあり、作り方に関してもキャストモールディング製法・レースカットなどありますが、今はキャストモールディング製法というのが多いです。

一般的には2weekはあくまでも1dayと比較すれば耐久力があるともいわれています。それは、2weekの場合は「こすり洗い」をして連続的な使用を想定しているからです。ただ、そもそもこすり洗いをして保存をするということにも一定のリスクがあります。

実際に目の感染症は1dayを使用している人より2weekを使用している人の方が起こりやすいこともわかっています。なので、眼科医が考えるコンタクトレンズの最も衛生的な使い方は、“1dayコンタクトレンズを1日使用して捨てる”ことに尽きます。

2weekをコンタクトレンズケースに保存して感染症にかかった患者さんの事例では、ケース自体がびっしりと菌によって汚染されていたということがありました。

洗ってるから安全、というわけではないのです。なので、コンタクトレンズを使用している方は、できる限り1dayを使用し、1日で捨てるほうがよいと思っていただければと思います。