一番かっこいいとあこがれるのは絶対に自分を曲げない“よね”

というのも、寅子はなんだかんだ自分を“曲げられる”女なんですよね。妥協するし、目的のためには手段を選ばないところもある。一方、よねは自分を“絶対に曲げない”という気持ちが強いので、お互いにとって「自分がなれなかった女性像」「自分にないものを手に入れている女性像」という面があります。どちらかが持っていてどちらかが持っていないものを描いていくことは、寅子とよねの関係性において、一貫して意識していました。

脚本家の吉田恵里香さん。紙の本特装版の『NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集』は10月の発売を前に予約で完売したほどの人気だ
脚本家の吉田恵里香さん。紙の本特装版の『NHK連続テレビ小説「虎に翼」シナリオ集』は10月の発売を前に予約で完売したほどの人気だ(撮影=プレジデントオンライン編集部)

それと、よねのような人がかっこいいと思われる社会が良いなという、私自身の思いもあります。よねはある意味ヒーロー的に描いているんですね。私自身が一番かっこいいと感じるのは、やっぱりよねだから、そういう憧れを抱ける対象を描きたいという思いがありました。

寅子やよねが若かった頃、当時の女性はズボンを履くことすら一般的ではありませんでした。山登りのシーンでもみんなスカートを履いているくらいですから。でも、そんな中でも、自分を曲げずに男と同じ格好をするというスタイルでずっとやってきた人物だということを描きたいと思いました。もし今回、三淵嘉子さんをモデルにした物語ではなく、完全にオリジナルストーリーなら、たぶんよねのような人を主人公にしたんじゃないかと思います。