人間が備えている「3つのバリア」

ここには人間が自分で生み出す3つの保湿因子が存在します。

その3つとは、水分を保つ働きを持つ「天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor:NMF)」、角質細胞と角質細胞の間を埋める「角質細胞間脂質」、皮膚の表面を覆っている「皮脂膜」です。

これらは3つのバリア因子とも呼ばれ、正常に働くことで、肌は潤いが保たれバリア機能を維持しています。

また、皮膚の表面にはたくさんの常在菌がいて、肌を弱酸性に保ったり、潤い成分を増やしたり、悪玉菌の繁殖を抑える成分を分泌したりして、肌を保護しています。

バリア機能が低下することで肌荒れが起きる

角質層は、まるでレンガを積み上げたように、角質細胞が積み重なって作られています。

赤いレンガの壁
写真=iStock.com/issalina
まるでレンガを積み上げたように角質細胞が積み重なっている(※写真はイメージです)

このレンガがきちんと積まれ、3つの保湿因子がしっかり保たれていれば、外界からの刺激や異物は侵入することができません。

しかし、紫外線や乾燥など外部からのダメージを受けると、ターンオーバーが乱れ、角質細胞がきちんと積み重ならず、3つの保湿因子も保つことができなくなり、角質層は隙間だらけのスカスカな状態になってしまいます。

その結果、皮膚のバリア機能が低下して外からの刺激を受けやすくなり、本来なら皮膚に侵入できないアレルギーの原因物質やウイルス、細菌などが入り込んで、アトピー性皮膚炎や湿疹などの炎症や感染症を起こしてしまいます。

これが多くの場合、肌荒れの原因なのです。