来夏の参院選まで政局は流動化し続ける…
菅氏は安倍政権の官房長官時代、財務省や検察の人事に介入して対立した。財務省や検察は菅氏の復権を警戒し、これまで麻生氏に接近してきた。剛腕の菅氏には敵が多く、菅氏の復権を阻止したい勢力は各方面に横たわっている。
麻生氏が今回の総裁選のキングメーカー争いで敗戦濃厚となり、菅氏に対抗する勢力の登場を期待する機運はじわりと広がっている。財務省は純一郎氏とは首相時代から親密な関係を築いており、純一郎氏を通じて進次郎氏を取り込んで菅氏の影響力をそぐ戦略を練っている。
進次郎氏が圧勝して菅氏がキングメーカーとして君臨するのを防ぐため、総裁選や総選挙の最中に政権内部からスキャンダルがリークされる可能性も少なくないだろう。進次郎氏の死角として無視できない要素だ。
以上、3つの死角を分析したが、現時点で進次郎氏の優勢は揺るがない。総裁選に圧勝して10月解散に突き進み、小泉劇場の熱気が冷めないうちに総選挙を乗り切ってしまう展開が最有力である。
とはいえ、その後の進次郎政権が安定軌道に乗るかどうかはわからない。菅氏と財務省の暗闘が始まり、解雇規制の見直しなどの公約が進まず、実績不足の進次郎氏のボロも続出して、政権が失速する可能性は十分にある。来年夏の参院選まで政局が流動化しつづけるのは間違いない。