女性管理職を増やすことはジェンダー平等か?

日本の場合、ジェンダー平等の実現度を測るジェンダー・ギャップ指数が2024年の時点で、世界146か国中118位と極めて低く、G7でも最下位のスコアとなっている(図表1)。

ジェンダー・ギャップ指数(GGI)2024
出所=『多様性バカ』

特に政治分野と経済分野が低いため、女性閣僚を増やせとか女性管理職を増やせといったキャンペーンが盛んに繰り広げられているけれど、それが本当にジェンダー平等を実現させているかというと必ずしもそうではない。

池田清彦『多様性バカ 矛盾と偽善が蔓延する日本への警告』(扶桑社)
池田清彦『多様性バカ 矛盾と偽善が蔓延する日本への警告』(扶桑社)

閣僚にしろ、管理職にしろ、いわゆる女性枠として選ばれた場合、その人に求められるのは「女性の閣僚」「女性の管理職」という役割だ。社外取締役としても女性が引っ張りだこだと聞くが、それだって「女性の社外取締役」を置いておけば、ジェンダー平等を実現している会社だとアピールするのに手っ取り早いからだろう。

つまり、女性に変に下駄を履かせるようなことをすれば、かえって「女性という役割」を強要することになりかねず、それはむしろジェンダー平等の精神に反するのではないだろうか。

今はまだ過渡期にあるので、女性を優遇するという手段が必要な部分もあるのかもしれないが、男性と平等の権利が確実に保障されるという状況であれば、わざわざ女性枠など設けたりせず、実力主義でやるほうが真のジェンダー平等が実現しやすいのではないかと私は思う。

【関連記事】
「子持ち様のせいで残業」荒れる日本とは全然違う…子なし層も大満足な欧州No.1の出生増加率の国の賢いやり方
出生率は先進国1位、食料自給率は90%超、待機児童はゼロ…日本が真っ先に見習うべき中東の国の名前
「女性の痛みが軽視されているから」ではない…「歯科では麻酔するのに婦人科で気軽に使えない本当の理由」
登校するでも休むでもない…夏休み明け「学校に行きたくない」と言うわが子に親が提案したい"第3の選択肢"
なぜ皇室に1男2女をもたらした「良妻賢母」が嫌われるのか…紀子さまを攻撃する人たちの"本音"