女性管理職を増やすことはジェンダー平等か?
日本の場合、ジェンダー平等の実現度を測るジェンダー・ギャップ指数が2024年の時点で、世界146か国中118位と極めて低く、G7でも最下位のスコアとなっている(図表1)。
特に政治分野と経済分野が低いため、女性閣僚を増やせとか女性管理職を増やせといったキャンペーンが盛んに繰り広げられているけれど、それが本当にジェンダー平等を実現させているかというと必ずしもそうではない。
閣僚にしろ、管理職にしろ、いわゆる女性枠として選ばれた場合、その人に求められるのは「女性の閣僚」「女性の管理職」という役割だ。社外取締役としても女性が引っ張りだこだと聞くが、それだって「女性の社外取締役」を置いておけば、ジェンダー平等を実現している会社だとアピールするのに手っ取り早いからだろう。
つまり、女性に変に下駄を履かせるようなことをすれば、かえって「女性という役割」を強要することになりかねず、それはむしろジェンダー平等の精神に反するのではないだろうか。
今はまだ過渡期にあるので、女性を優遇するという手段が必要な部分もあるのかもしれないが、男性と平等の権利が確実に保障されるという状況であれば、わざわざ女性枠など設けたりせず、実力主義でやるほうが真のジェンダー平等が実現しやすいのではないかと私は思う。