政治家は「全方位的に配慮」する義務がある
「多様性の尊重」というのは「あらゆるカテゴリー間の差異に優劣などつけず、すべてを等価だと考えよう」という話なので、あらゆるカテゴリーにいる人たちのすべての権利が、ほかの人たちと等価でなければ話は先に進まない。
会社においても、役職が上のほうにいる人たちと、ヒラ社員の人たちとでは、少なからず上下関係があるのだから、上司が部下になんの配慮もしなくていいという話にはならないだろう。
ただしそうはいっても、不満や言いたいことがあるのなら自分で主張すればいいのであって、上司が自分に気を使ってくれないなどと駄々をこねたりするのは自立した大人のやることではない。
産休クッキーの話のところで、「全方位的に配慮するなんて不可能だ」と言ったけれど、普通の国民より明らかに強い権力を有している為政者の場合は話が別で、それが難しいことであるとしても、あらゆる人たちの立場になって考える義務はあると思うし、国民にもそれを求める権利はある。
実質的な平等を保障するには法律が必要
例えば選択的夫婦別姓を認めないことで実際困っている人が確実にいるはずなのに、そこに配慮しないというのは本来はあり得ないことなのだ。まあ、それをちゃんとわかっている政治家にはなかなかお目にかかれないけどね。
また、カテゴリー間の実質的な平等を保障するのが難しいケースは多々あり、そこではなんらかの施策という装置(手段)が必要になる。
例えば、障害のある人たちと健常者の権利は平等だといっても、仕事をするにせよ、なんにせよ、障害のある人たちのほうがどうしても不利になってしまう現実がある。
だからこそ、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)を制定するなどして、それを是正しようとしているわけだ。問題があるとはいえ、LGBT理解増進法も一応はそれを目的に制定されたものではある。