「世界最強」パスポートの持ち腐れ
しかしながら、日本のパスポートはビザの取得をせずとも入国できる国の数が常にトップクラスで、「世界最強のパスポート」とも言われている。2024年1月に英国のコンサルタント会社ヘンリー・アンド・パートナーズが発表したデータによると、日本のパスポートはシンガポール、仏独西伊の欧州4カ国とともに194の国と地域にビザなしで渡航できる。ほぼ世界中どこへでも気軽に行けるパスポートなのに、その強さが十分活かされていない。
そして現今の経済状況などを考えると、保有率が再び伸びる可能性はあまりない。世界各地から日本に観光にやってくる人に対し、相手の国のことを体験的に語れない。これで真の観光立国と言えるのだろうか?
ちなみに、2023年5月にJTBが実施したアンケート調査によると、「この先の1年以内に海外旅行に行きたいと思いますか?」という問いに対し、「行きたいと思っていて、具体的に予定・検討している」と「行きたいと思っているが、実施するかどうか迷っている」が合わせて33.2%、「今は行きたくない」が33.4%、「今に限らず行きたくない、興味がない」が33.3%と、ほぼ3分の1ずつとなっている。この結果が2023年の渡航の伸び悩みを裏付けていると言えそうだ。