「低血糖」が眠気、だるさ、イライラの原因に

④脳機能への影響

血糖値が急上昇すると、すい臓が大量のインスリンを分泌し、数時間後には血糖値が急降下します。その軌道は、まさにジェットコースターです。

大量のインスリンが分泌されると、通常の空腹時(80~100mg/dl)よりも血糖値が下がってしまう「低血糖」に陥ります。70mg/dlを下回ると、眠気に襲われたり体がだるくなったり、なんだか落ち着かずに集中が途切れて仕事が手につかないだけでなく、イライラしてしまったりする精神症状を呈することもあります。

このように、血糖値の変動はさまざまな弊害を引き起こすことから、何かを口にするときは糖質のとり過ぎにならないかどうか、気をつけることが重要です。

では、糖質はどの程度摂取したらよいのでしょうか。

その判断をするための、一つの指標となる研究論文があります。

ハーバード大学が2018年に発表した、炭水化物摂取量と死亡率との関連を調べた研究論文を見てみましょう。

ハーバードの研究で判明「炭水化物摂取量と死亡率との関連」

この研究では、極端なカロリー摂取をしていない1万5428人の成人男女を対象に、平均で25年間の間、食事の内容と生命予後との関係を調べました。

この結果、炭水化物からの総エネルギー摂取が50~55%の群が、最も死亡リスクが低いことが判明したのです。一方で、最も死亡リスクが高かったのが、炭水化物摂取70%の群と、40%の群でした。

つまり、炭水化物摂取量が多過ぎても、少な過ぎても、死亡リスクは高くなるということです。

これを踏まえると、大切なのは過剰な糖質制限をするのではなく、個々の運動量や体質によって糖質の必要量はどれぐらいかを経験や検査から知っておく必要があるということがわかります。

私は、クライアントに対しては、1日の糖質摂取量を200~250g以内にすることを勧めています。減量目的の場合であれば、1日の糖質摂取量を150g以内にする「マイルド糖質制限」がよいでしょう。

ハーバード大学の研究で最も死亡リスクが低かった「炭水化物50~55%」は、1日の摂取カロリーを2000kcalとした場合、炭水化物から食物繊維を除いた糖質量でいうと200~250gです。