※本稿は、満尾正『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術[文庫版]』(アチーブメント出版)の一部を再編集したものです。
現代人は糖質をとり過ぎている
糖質は効率よく細胞のエネルギーを生み出す貴重な栄養素です。
しかし、現代社会はあまりにも利便性が高まり、いつでもどこでも簡単に糖質をとることができるようになってしまいました。その結果、ほとんどの現代人が糖質摂取過剰の状態に陥っています。
朝にパン、昼にパスタを食べ、午後にいただきもののお菓子を楽しむ。健康のために野菜ジュースを飲み、夜は会食でワインを飲みながらのフルコース……といった高糖質な食生活は、ビジネスパーソンには珍しくないことでしょう。
ハイパフォーマンスを目指すには、脳細胞のエネルギー源となる糖質摂取も必要ですが、糖質摂取量が多過ぎると、かえってパフォーマンスを落とすリスクもあります。
リスクの一つに、糖質過剰摂取による高血糖状態が長く続くと、糖質とタンパク質が化合して生じる「糖化タンパク質」が増えてしまうということがあります。
糖化タンパク質の中で、正常の状態に戻れなくなってしまったものが「AGEs(終末糖化産物)」です。
これは、さまざまな細胞障害を引き起こすことが知られています。AGEsについては「食べない投資6 揚げ物など高温調理された食べ物(233ページ)」で、詳しくお伝えします。
高血糖状態が続けば、糖尿病のリスク増
欧米人と比べて、日本人は血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量が少ないといわれており、その結果、同じ量の糖質を食べても高血糖になりやすい人が多くいる可能性があります。さらに高血糖状態が続けば、避けたい病気の一つである糖尿病になるリスクも増えてしまいます。
リスクの二つ目は「糖質」。中でも精製された穀類や砂糖類などのとり過ぎによって、血糖値の乱高下を引き起こし、体調不良の原因となることです。
急激に血糖値が上昇すると、血糖値を下げるために大量のインスリンが分泌されます。このため血糖値は下がり始めるのですが、インスリンの影響は血糖値が下がった後まで残るため、数時間後には血糖値が必要以上に下がってしまう、という現象が起こります。この状態を「低血糖状態」と呼びますが、集中力や思考力の低下、体のだるさなど、さまざまな症状を伴うことが知られています。