現代人の「4人に1人」は糖尿病にかかる

高血糖や低血糖がどんな悪影響を与えるかについて、次にまとめます。

①糖尿病

血液中のブドウ糖濃度である血糖値が、適正値よりも高い状態が続く病気で、現代人の20~30%が罹患するといわれています。発生の原因はインスリンの分泌不足やその働きに異常が生じることにあります。

糖尿病には2つの型があります。「1型」はすい臓でインスリンを産生できなくなることによって起こるもの、「2型」は栄養の偏り、過食、運動不足などの生活習慣が加わることで、インスリンの分泌不全や働きの低下が起こり発症します。働き世代に発症する確率が高いのが、この2型です。

糖尿病の怖いところは、その合併症にあります。

糖尿病ではAGEsが増えることによって、抹消血管がダメージを受けてしまいます。その結果、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、末梢神経障害といった深刻な合併症が起きてしまいます。

さらに近年の研究で、糖尿病ではアルツハイマー型認知症の発症率が高くなるということも明らかにされてきました。

すなわち、糖尿病になると脳の機能にも好ましくない影響があるということです。

患者に症状を説明する男性医師
写真=iStock.com/kazuma seki
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老化を進める「最悪のホルモン」とは

②動脈硬化

高血糖の状態が続くと、当然ですが血中インスリン濃度が常に高い状態が生まれます。

インスリンは老化を進める最悪のホルモンともいわれ、アンチエイジングドックでは空腹時インスリン濃度を下げることが重要な目標の一つに挙げられます。

高血糖、高インスリン血症が持続すると、動脈の変性が起こりやすくなり、その結果動脈硬化が進行し、高血圧やさまざまな心臓疾患の原因となります。動脈硬化が起こったところで血栓が生まれると、その先への血流障害が起きるため細胞が死んでしまいます。

これが「梗塞」であり、心筋梗塞や脳梗塞が一般的に知られています。

③肥満

インスリンは、肥満にも深く関係しています。

高血糖が持続すると、インスリンは糖を脂肪細胞に送り込み血糖値を下げようとします。その結果、脂肪細胞の中でも特に内臓脂肪が増える結果となります。

寝る前に糖質を大量に摂取する場合には、この傾向が顕著になるようです。内臓脂肪が増えると、今度はこの脂肪細胞からさまざまな物質が放出され、高血圧やさらなる肥満の原因を作ることもわかってきました。

このように、糖質の過剰摂取は悪循環の歯車を回す原因となってしまいます。