河野氏は突破力だけはトップクラスだが…

上川陽子氏は現職の外務大臣。だが、文春も新潮も彼女のことは無視している。

麻生氏が上川氏の容姿について「おばさん」「そんな美しい方とは言わない」と暴言を吐いたことで、一躍名前を知られたが、法相や外相として顕著な実績があるわけではない。「初の女性総理」を目指すだけでは、出馬したとしても“壁の花”でしかないというのであろう。

日本の国会議事堂
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永田町の“変人”と称される河野氏はどうだろう。

祖父は“元祖豪腕”といわれた河野一郎氏。父は河野洋平元自民党総裁。ともに総理になってもよかったが、一郎氏は副総理、洋平氏は総裁にはなったが、総理にはなれなかった。総裁で総理になれなかった政治家は他には谷垣禎一氏だけである。

河野家にとって総理を出すことが悲願であるはずだ。河野太郎氏はそれを叶えられるのだろうか。

政治家としての力量や突破力は党内でも1、2を争う。だが、マイナカードの拙速な普及に見られるように、独断専行型で、しばしば彼の発言が物議を巻き起こす。群れを成すことが嫌いな一匹狼で、彼の所属している派閥でさえ、河野支持でまとまらないように、父親の洋平氏とは違って“人望”に欠けるところが大いにある。

さらに、「河野さんは党内では異色の“脱原発派”でしたが、7月31日には茨城・東海村の原発施設を視察し、『電力需要の急増に対応するため、原発の再稼働を含めて技術を活用する必要がある』などと発言しました」(全国紙デスク=新潮)

ダークホースは「初の女性総理」候補

総裁になるためには持論を曲げてもというのでは、河野太郎氏の存在理由がなくなるのではないか。

立候補表明後に、派閥の裏金事件について、「(政治資金収支報告書への)不記載金額の返還で、けじめとして前へ進みたい」と語ったという。その意気やよしだが、どこの誰にどういう形で返金するのかについても具体的に話さないのでは、党内から不満が噴き出すのも無理はない。

河野家の悲願は、二度あることは三度ある、風前の灯火と見た。

高市早苗氏を私は、ひょっとするとひょっとするのではないかと見ている。なぜなら、彼女は安倍晋三氏の“理念”を引き継いでいる、由緒正しいウルトラ保守だからだ。しかも弁舌巧みで、ユーモアもあり、人をひき付ける魅力もある。

前回の総裁選に初出馬して、安倍氏の後ろ盾があったにしても、見事、議員票では河野氏を抜いて2位になっている。

もし今回、第1回投票で石破氏1位、高市氏が2位になれば、決選投票では、保守派の議員票が彼女に集まり、初の女性総理誕生となる可能性は、かなりあると思っているのだが。