「総理に一番近い」石破氏は安倍氏以上に過激

最後に、今回の総裁選で、「総裁・総理に一番近い」といわれている石破茂氏はどうだろう。

石破氏の弱点は人望がないこと、それに尽きる。新潮は、7月1日に赤坂のホテルで行われた、菅氏と武田良太元総務相との会食を例に出す。

石破氏が総裁選に出るので頭を下げに来たと思ったら、石破氏は昔話を語るだけで、下戸の菅氏はただ聞いているだけだったという。

その会は石破側から持ちかけたのにもかかわらず、店選びから支払いまで菅氏がしたそうだ。これでは人脈などできるはずはない。

党員票はそこそこ入るだろうが、決選投票では議員票が入らないという可能性大である。

石破氏はかなり過激な改憲派である。九条2項を削除しろというのだから、安倍氏よりも過激である。

石破氏は雑誌『月刊日本』9月号で持論をこう述べている。

「現行憲法が自衛隊についてきちんと規定できていないのは、自衛隊が警察予備隊から始まったことが関係していると思います。(中略)警察予備隊はその名の通り警察の予備であり、警察力の強化版でした。その後、警察予備隊は保安隊になり、自衛隊になったわけですが、その法的な本質は変わっていません。

国家行政組織法上、警察権は行政権とぴったり重なるので、統制の必要はありません。実際、警察に対して文民統制という言葉は使いません。他方、軍隊は自衛権を体現しており、国内法執行組織である行政からはみ出す部分があります。だからこそ、国民主権に依拠した司法・立法・行政による厳格な統制に服さなければならないのです」

横須賀軍港、日本自衛隊の高瀬、防衛駆逐艦
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「女性天皇」の議論をぜひやってほしい

「しかし、日本の自衛隊はどれほど軍隊に見えたといっても、その法的本質は警察権です。だから、文民統制という概念が入り込む余地がないのです。こうした状況を解消するためにも、9条を改正しなければなりません」

石破氏が総理に就任すれば、すぐ手を付けるのは憲法改正なのではないか。

同じ雑誌に齋藤健氏がインタビューに答えている。彼は書店が好きで、2017年に有志らと「全国の書店経営者を支える議員連盟」をつくり幹事長に就任している。

齋藤氏は電子書籍で本は読まないという。また、歴史に興味があり、『転落の歴史に何を見るか 奉天会戦からノモンハン事件へ』(ちくま新書)を上梓している。元出版社にいた人間としては、こういう人がリーダーになってほしいと思うのだが。

有権者が次の総理に期待するのは「経済問題」が多いが、私にはぜひ総裁選で議論してほしいテーマがある。それは「女性天皇」についてである。

岸田総理は昨年2月、唐突に、「安定的な皇位継承を確保する方策への先送りは許されない」と述べ、額賀福志郎衆院議長は「早く結論を得たい」と前向きのように見せたが、結局また先送りされてしまった。