未知の事象が起きた時、人間並みに対応できるか

また、AIが、その原理からして過去の人間の仕事から学んでいるのなら、結局は人間の精度を超えるのは難しいのではないかというのが私の見解です。

クルマでたとえるなら、航空管制はF1の世界です。クルマの自動運転技術にしても、現在は路線バスや高速道路に限定した導入を検討中で、一般乗用車で入り組んだ一般道における実用化はもう少し先という段階です。

タワーマン『航空管制 知られざる最前線』(KAWADE夢新書)
タワーマン『航空管制 知られざる最前線』(KAWADE夢新書)

さらに、将来的にF1で走るようなレーシングカーの自動運転は可能かというと、おそらく不可能ではないでしょうか。レースで求められる運転技術の精度が違いすぎるからです。

何より難しいのが、未知の事象が起きたときの判断です。私はAIが「ハドソン川の奇跡」(USエアウェイズ機が離陸直後にバードストライクに遭遇し、2基のエンジンが停止したが、川に着水して墜落衝突を回避した事故)並みの対応を導けるとは思えないのです。

これが、管制のスキルをどこまでテクノロジーがサポートできるか、という問いへの答えです。パイロットも管制もすべてがAIで統制されるようになるまでは、人の時代が続くのではないでしょうか。

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