お金の知識だけで財テクは出来ない

いま、書店には「新NISA本」や「投資本」があふれています。また、ネットにも「お金との付き合い方」のような情報はあふれています。これで出来るのは、頭でっかちの投資家です。

ただ、相場というのは、理論的に上手くいくものではなく、経験値が必要です。上がるはずの株価が、逆に下がる。下がるはずの株価が、上がる。これはよくあることです。

例えば、業績発表では良い数値が出ましたが、株価は「材料出尽くし」で下げる、というのは、少なくはないのです。ここで、知らなければならないのは、相場というのは、常に「先食い」をすることです。

好業績、好材料も先に織り込まれて、株価に反映することは珍しくはありません。そのために、普通の数値は既に株価に反映されているので、その上を買う人がいないわけで、売られてしまうのです。

ローソク足チャートと金融市場のデータ
写真=iStock.com/tadamichi
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裏の裏を見抜き、対応できる人が相場で勝つ

ただ、意外なほどの数値が出れば、それを織り込むために、大幅に上げていきます。これが相場というもので、このような株価の動きはなかなか教えてはもらえません。

逆に、大赤字が発表されたとき、それが想定内であれば、株価は「悪材料出尽くし」で、悪抜けし、反発になることも多くあります。もちろん、今期は悪いが来期は回復するという予想もできなくはありませんが、悪い数値で上がる、というのは、少しだけ相場をかじった人、初心者には理解できないことです。

このように、現実の投資の経験値で、本当の動きについて予測できないと、お金を投入しても望ましい結果が出ないことがあります。一見して、あまのじゃくのような相場の動きですが、魑魅魍魎ちみもうりょうの相場の中で、勝ち抜き、結果を出していくためには、裏の裏を見抜き、対応できるようでなければならないのです。

それが相場で勝つという事なのです。実に奥深い、思惑のぶつかり合いの世界なのです。