新NISAの投資先はどのように選べばいいのか。投資歴45年以上の投資家、石井勝利さんは「いちばん重要なのは、信頼性のある企業の株を買うことだ。長い目で見て成長し、収益を上げている企業に投資するのがいい」という――。

※本稿は、石井勝利『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

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ほとんどの人には課税対象となる利益がない

いま、人気の新NISAについて、考えてみましょう。この特徴は、今までよりも、非課税の枠が広がったということです。何について非課税なのかと言えば、「儲け」に対してです。

なので、儲からない、損をしている、この状態では、何の特典もありません。これは要注意です。新NISAで何を運用するかと言えば、株式投資、投資信託が主です。通常の投資では、儲けに対して、国税、地方税、合わせて利益に対して20%の課税がなされています。

国は、非課税枠を広げるということで、従来は、日本人の傾向として、お金は預貯金に入れていますが、これを株式投資などに移動するために、利益に課税しないという「アメ」を用意しているのです。

ただ、現在の株式投資の傾向では、利益を確保する人は、投資家全体の5%程度に過ぎず、あとの95%は「含み損」を抱えているというデータがあります。

株にお金を回し、運用益に対して非課税のメリットを得ようとしても、実際は、ほとんどの人が非課税どころか、課税対象となる利益がないのです。

新NISAでお金が減っても国は補填してくれない

もちろん、運用に対して、プロ級の人には恩恵がありますが、「新NISAってなんだ」というような初心者には、ほとんどメリットはないのが実情です。

もちろん、投資の基本である「定額投資」であれば、高い時は少なく、安い時は多く買う「ドルコスト平均法」で購入すれば、含み益が出る可能性があります。新NISAが得なのではなく、ここにお金を入れて、賢くお金を増やす方法にメリットがあるのです。

それに気が付かないで、証券会社の口座で新NISA枠を使えば有利である、得をするという考えは甘く、成功はないのです。「新NISAにチャンスがある」というような安易な考え方でお金を移動するのは、逆にお金を減らします。

新NISAでお金が減っても、国が補填してくれるわけではないのです。ここがポイントであり、「新NISAは有利」というお題目に騙されないようにしましょう。