自分を見つめ直すいい機会になった
なんで働いているのか、私もみなさんに聞いてみたいですね。だって、今まで深く考えたことありませんでしたから。だからね、取材のお話をいただいて、私なりによく考えました。
そう意味では、ありがたい時間でした。みなさんもぜひ考えてみてください。なんで働いているのか。自分を見つめ直すいい機会になると思います。少なくとも、私はそうでした。
一所懸命に考えて、わかりました。あぁ、そうかと腑に落ちたというのでしょうか。単刀直入に言えば、仕事をするのは、人生を楽しくするため。それに尽きます。上沼恵美子が上沼恵美子でいられるのは、仕事があるからだってことがよくわかりました。
ちょっと、主人の話してもいいですか。のろけ話ではありませんよ。実は今回、真っ先に浮かんだのが61歳で定年退職した主人のことだったんです。
彼は友達も多いし、多趣味なんで、きっと楽しい老後が待ってるはずやと本人も思っていただろうし、私も彼の性格をよく知っていますから、生き生きとした生活を送るんだろうなと、じっと観察してきたわけです。
それがね、ここにきて息切れしてはります。定年して10年くらいは、まあ楽しそうにやってました。ゴルフだウクレレだ海外旅行だ陶芸だ俳句やなんだかんだと。でもね、私には彼がどんどんしんどくなっているのが見ていてわかりました。ここ最近は、元気がないというか、ちっとも生気がない。定年して16年。主人を見ていて、なるほどなぁって思ったわけです。
何が言いたいのかといえば、趣味はあくまでも趣味。仕事の持っている迫力には到底かなわないってことです。趣味はやってもやらなくても一緒ですよね。仕事はやらないわけにはいきません。責任感がついてまわりますから、そりゃ、覇気もみなぎれば、自然と目つきも違ってきます。責任があるって、実は大事なことです。お金では買えないものですからね。
主人もテレビ局で働いていたときは、それはもう素敵でした。ギラギラというかキラキラというか、真剣に仕事をしていた頃の彼は、というか、彼に限らずのことですけど、仕事をしていることで、生きていることに緊張感が生まれるでしょ、そうすると滲み出るものが違うわけです。
この前、久しぶりに別荘に行ったとき、知らないおじいさんがベランダにいて、注意しようと思って近づいたら、うちの主人でした。はははは。そんな感じです。長いこと仕事をしないと、人は見た目も変わるんですね。主人の元気のない姿を見ていると、やっぱり仕事せなあかんなと思います。