発達段階を逆行する「赤ちゃん化」が起きる
認知症をポジティブにとらえるべき理由はほかにもあります。脳の仕組みのおかげで、認知症が本人の主観的幸福度に悪影響を与えることはあまりありません。認知症特有の不安を感じることもありますが、適切なケアを受け、周囲の人たちに理解のある対応をしてもらえれば、最後まで幸せを感じながら生きていくことができます。アルツハイマー型認知症になった本人が幸せと感じることができる理由を3つご紹介しましょう。
1つめは「合理化」です。脳には自分の言動を正当化する「合理化」というメカニズムがあり、認知症になってもこの機能は働きます。目の前の状況を自分に都合よく解釈するのです。この機能のおかげで、何か大きな失敗をしても自分を正当化します。「自分のせい」と落ち込むことはありませんから、本人にとっては幸せなことです。特に、自分の認知能力の低下を自覚していない場合にこの傾向が強くなります。
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