古文・漢文の授業に今でも感謝している理由
日本文学でも与謝野晶子訳の『源氏物語』や、現代語訳された『平家物語』『源平盛衰記』『太平記』などの古典文学のほうを好んで読んでいました。吉川英治の『新・平家物語』、山岡荘八の『織田信長』なども気楽に読みました。
国語の時間は相変わらず中学生・高校生になっても好きではありませんでしたが、その中で古文や漢文は自分では読めなかった中国や日本の古典の原点に触れられて新鮮な感動がありました。
今でも「力山を抜き気は世を蓋う」が有名な、項羽の垓下の歌など史記の一節、李白や杜甫をはじめ、唐詩の読み下し文を愛読し暗記しているのはそのころの授業のおかげです。
漢文の読み下し文の引き締まった文語の語調は今でも大好きですが、史記や論語、唐詩の訓読などは中国の人には通じず、私たちより若い人にも通じず、おそらく今後なくなってしまう文学の分野なのだろうなと思うと少し寂しい気がします。のちに吉川幸次郎さんの『杜甫』『漢文の話』なども愛読しました。
子供のころのように手当たり次第に読む時期を過ぎ、このころになると自分なりの好みが少しずつ形作られていったように思います。