宇宙に思いをはせた『星雲からきた少年』
「世界の歴史」は基礎的な歴史の流れを描写しており、当時バリバリの歴史学者が書いておりギリシア・ローマ、秦、漢や隋、唐など有名な時代だけでなく、中世ヨーロッパ、シルクロードなどの世界にも目を開かされました。中でも愛読したのは「ギリシアとローマ」「フランス革命とナポレオン」などすでに偉人伝などで切れ切れの知識のある時代でした。
またこれは町立の図書館だったか学校の図書室だったか記憶はあいまいですが、ジョーンズの『星雲からきた少年』のようなSFも愛読書でした。太陽系、恒星や惑星、他の銀河系あたりまでは夢が広がりましたが、相対性原理、核融合、多次元空間など物理の世界への関心を持つというところまではいきませんでした。
コナン・ドイルの『失われた世界』や「地球の歴史」も興味を持って読んでいたのですが、基本は文学書、歴史書で、理科系への興味にまでは至らなかったのか、指導者のいない、我流の読書の弊害だったと今になって思います。
親がすすめても、子どもは本好きにならなかった
一方で、特に指導されなかったから、本が十分になかったから本好きになったのではないかと思います。私は娘たちにたくさん「この本を読んだら」「この本は面白いよ」とすすめたのですが、それがうるさかったのか娘たちは本好きにはなりませんでした。
中学生から高校生にかけて一番良く読んだのはいわゆる世界文学全集でした。学校の図書室でも大きな場所を占めていたのは世界文学全集でしたし、大学を卒業し就職して教員になったばかりの姉が、河出書房新社から刊行された世界文学全集を毎月定期的に買っていました。
ドストエフスキーの『罪と罰』、トルストイの『戦争と平和』、ロマン・ローランの『ジャン・クリストフ』など定番中の定番の名作の翻訳を私もせっせと読みました。アンドレ・ジイド『狭き門』、ビクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル』、モーパッサン『女の一生』、スタンダール『赤と黒』、バルザック『谷間の百合』などなど。
定評ある名作とはいえ中学生には理解できない部分も多かったのですが、次々と読み通すことができたのは子供のころからの活字漬けの影響で、本を読むスピードが速かったからでしょう。