「故郷に戻っただけ」vs.「領土を超えて占領している」
ユダヤ人
「確かに、長い間自分たちの大多数は土地を不在にしており、少数の仲間しかパレスチナの土地には残らなかった。しかし、やむを得なかったのだ。ローマなどに侵略されて土地を追われ、2000年近くヨーロッパなどに避難しなければならなかった。それはユダヤ民族への迫害のせいであり、我々はナチスによる虐殺で民族絶滅の危機にも直面した。我々ユダヤ人が安全に生きていくためには住む土地がどうしても必要だった。ようやく大勢でこの“故郷“に戻ってきて安全に暮らせるようになったのだ」
パレスチナ人
「迫害されてきたから、虐殺されたから、人の土地に勝手に住んで良いという理屈は成立しない。しかも、ユダヤ人たちは最終的には国家までつくり、国外から大勢の仲間を呼び寄せて、今やその領土を超える部分も占領して住み始めている(※4)。
占領された土地に住んでいた我々パレスチナ人は家を追い出され、耕した畑も水源も人権も奪われている。今ユダヤ人に迫害されているのはパレスチナ人の方だ。こんなことが許されるはずはない」
※4:パレスチナにユダヤとアラブの二国家を作るという1947年の国連決議「パレスチナ分割決議」により、本来ヨルダン川西岸地区はパレスチナ人が住むはずでしたが、実際はその土地の約60%が、イスラエルに占領され、その支配下にあることを指します。
「イスラエル建国」直後、第一次中東戦争が勃発
ユダヤ人
「自分たちは決してパレスチナ人の土地を勝手に奪ったわけではない。1947年の国連決(※5)によってこの場所で国家をつくることが認められている。つまり自分たちは認められた範囲で国家をつくっただけだ。すると、どうなったか。突然、パレスチナ人やアラブ諸国の軍隊が攻め込んできたではないか(※6)。つまり戦争を最初に仕掛けてきたのはパレスチナ人やアラブ諸国だ。
我々イスラエルはただ防衛のために戦わざるを得なかったのだ。我々は勝利したが、自分たちはやはり危険な環境にいるのだと分かった。だから自らの安全を確保するためにも、そして国外から移民としてやってくる同胞たちが住むためにも、領土を超えた占領地が必要だ。こうした理由で、我々はイスラエル建国時の領土の場所を超えた土地を占領し続けるのだ」
※5:1947年の国連決議「パレスチナ分割決議」を指します。
※6:1948年の第一次中東戦争を指します。
パレスチナ人
「確かに我々は建国直後のイスラエルに攻め込んだ。そして敗北した。しかしイスラエル建国前からユダヤ人によるパレスチナ人への苛烈な攻撃があった。さらに1947年の国連決議は少数だったユダヤ人に半分以上の土地を与えるものであり、アラブ諸国はそもそも反対していた。イスラエル建国を認めた国連決議はイギリスやアメリカの多数派工作によるものだ」