幸せに人生を終えるにはどうすればいいか。医師の和田秀樹さんは「お金は持っていることより使うことのほうに価値がある。死ぬまで金を貯め続けるなんてバカげたことはない。ベッドの上で過ごす日が多くなる人生の最終段階で、心の支えとなってくれるのは、『あのときは楽しかったな』という思い出である」という――。

※本稿は、和田秀樹『どうせ死ぬんだから』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

夕焼けの砂浜で寝転ぶシニア男性
写真=iStock.com/Nes
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再婚したくてもできない「金持ちパラドックス」

私は「金持ちパラドックス(逆説)」と呼んでいるのですが、金持ちであるがゆえに不幸な出来事が起きやすいものです。

たとえば高齢になって妻に先立たれた男性が、近所の小料理屋の女将と仲良くなって「結婚しようと思う」と話したとき、財産がない家であれば、子どもたちは、「お父さん、良かったじゃない。幸せになってね」と言ってくれる。

考えようによっては、その女性に介護を押しつけることもできるわけですから。金がなければ、誰も反対しないでしょう。

しかし、家を売ったら2億円になるとか、たっぷり貯金があるとかという場合は、「財産目当てに決まってるじゃないか!そんな女と結婚するなんて僕たちは許さないよ」などと言われて結婚させてもらえない。

日本の高齢者は気が弱いから、子どもに嫌われたくなくてあきらめるケースが多い。それこそ「嫌われる勇気」を持ったほうがいいと思います。

だって、財産のために親の再婚を反対するような子どもが、先々ちゃんと介護してくれる確率は決して高くないですから。

財産目当てだと思われている女性も、途中で離婚したら財産はもらえなくなるわけですから、たとえ財産目当てであっても、自分の介護はしてくれるという保証はあるでしょう。

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