相手の気持ちを尊重したい男性は半数以上

「プレジデント ウーマン」では、選択的夫婦別姓に関するアンケート調査を実施(※)した。そこで、現在独身と回答した人に、今後「法律婚を選択するとき、相手が『姓を変えたくない』と言ったらどうしますか?」と質問したところ、「受け入れる」と回答した人が、全体の57.9%。男性では65.9%に上った。女性は49.0%とやや下がるが、「自分は変えたくない」が20.7%と、男性の8.8%と比べると3倍近くなる。次いで「よく考えたい」が男女ともにポイントが高くなる。回答者の多くが、心情的には「相手の気持ちを尊重したい」と考えている様子が見て取れるが、自身の生まれながらの姓を大切にしたい女性が多くいることがわかる。

(※)実施期間2024年3月21日~28日。「プレジデントオンライン」と「プレジデント ウーマンオンライン」のメルマガに登録する男女へ、オンラインアンケートを実施(有効回答数:4227。回答者の年代=20~60代以上。男64.3%、女35.2%、その他0.4%)

【図表1】今後、法律婚を選択する際、相手が「姓を変えたくない」と言ったらどうしますか?(複数選択)
出典=プレジデント ウーマン編集部調べ

また、「夫婦は同姓であるべきだと思うか」という問いには、「あまり思わない」「まったく思わない」と答えたのは、女性が55.8%、男性は33.5%だった。

その理由を尋ねると、「個人の人権を尊重したい」(男性20代)、「婚姻後の姓はふたりが話し合って決めるべきこと」(女性30代)、「各個人が決めるべきことだと思うから」(男性30代)、「同姓にしたい人はする、したくないなら別姓にする。選択できない現状がよくない」(女性40代)など、ほとんどが「個人を尊重し、強制すべきことではない」という意見が占めた。

一方、夫婦は同姓であるべきと「大いに思う」「やや思う」と回答した30.5%の人からは、「別姓にすることで家族の絆が失われる」(男性60代)、「一体感、連帯感が生まれる」(女性40代)、「結婚生活に責任が生まれる」(男性50代)など、同姓により「家族感」「一体感」が保たれるという意見が目立った。

【図表2】夫婦は同姓であるべきだと思いますか?
出典=プレジデント ウーマン編集部調べ

そこで、「選択的夫婦別姓に法改正されたら、別姓を選びたいか」という質問を投げてみたところ、男性の50.4%が「いいえ」と回答した。「はい」と回答したのは女性の49.3%で、内、すでに法律婚で改姓している女性も多く、自身の本来の姓への強い思いが感じ取れる。一方、既に婚姻により改姓していて「別姓を選びたくない」と回答した女性からは、「別姓にしたいが、また姓を変更する手続きが面倒」(女性40代)、「もう15年以上この名前を使っている。旧姓に戻すと離婚したと思われる」(女性40代)、「今さら元の姓に戻すのも面倒」(女性50代)、「継続性の観点で面倒」(女性30代)、「この名前のほうが長くなった」(女性40代)など、多くの人が改姓手続きの煩雑さと面倒さを思い出し、別姓を選択したくないという諦めの心情を吐露した。

【図表3】今後、選択的夫婦別姓に法律が改正されたら、別姓を選びたいですか?
出典=プレジデント ウーマン編集部調べ

アンケートでは、現在の「夫婦同姓制」「選択的夫婦別姓」についての賛否の意見も拾った。現在の夫婦同姓制度については、「柔軟性に欠ける問題のある制度だ」(女性50代)、「グローバル化の現代、古い民法に引きずられた時代にそぐわない制度」(女性40代)、「家族制度は大切にすべきだが、強制的にいずれかが姓を変えなければならない現在の法律は封建的」(男性40代)などの声が寄せられた。さらに「婚姻の際、お互いが『選択』できることが重要」(男性30代)の声とともに、「姓を変えることの理不尽さ、不合理さを、これからの世代に味わってもらいたくない」(女性50代)、「選択的夫婦別姓には賛成だが、『別姓が強制』にならないことを望む」(男性40代)など次世代への気遣いも目立つ。

一方、夫婦同姓制に関しては、「日本の伝統や文化でもあるので守りたい」(女性30代)、「家族単位で考えると、同姓が望ましい」(男性50代)、「姓は子どもの帰属に影響を与えるので、同姓が基準」(男性60代)、「一部の反対派の声が大きいだけで、同姓で何も問題はない」(女性40代)などの声も上がった。