7月12日、愛媛県松山市の松山城で、土砂崩れが発生し3人が死亡した。歴史評論家で城郭に詳しい香原斗志さんは「異常気象が続く中で、松山城以外の城でも同様のことが起きている。文化庁は、災害が起きる前に各自治体が危険箇所の補修を完了できるよう、手続きを迅速化すべきだ」という――。
土砂崩れが発生した松山城付近の斜面=2024年7月12日、松山市
写真=共同通信社
土砂崩れが発生した松山城付近の斜面=2024年7月12日、松山市

城が築かれるのは「地盤が堅牢な場所」とは限らない

7月12日、松山城(愛媛県松山市)の「城山(勝山)」で土砂崩れが発生し、住宅3棟が全壊したほか、13棟が一部損壊。直撃された住宅に住んでいた3人が亡くなった。松山市では10日から2日間で、平年の7月1カ月分に相当する213ミリの雨が降っていた。

現場一帯は以前から、土砂災害警戒区域に指定されていた。風化して表面がやわらなくなった土壌が大量の雨を吸収して重くなり、表層崩壊、すなわち、硬い岩盤上の表面の土が滑り落ちる現象が起きたようだ。

テレビのニュースやワイドショーなどでは、この災害が「松山城の近くで発生」と報じるケースが目立ったが、「近く」ではない。まさに松山城内で災害が発生したのである。

ちなみに、私は7月15日から松山城の取材旅行に出掛ける予定だったので、亡くなった方にくらべれば小さなダメージではあるが、困り果てた。もうキャンセルできないので松山には出向いたが、当然、城内へ立ち入ることはできない。営業再開までには1カ月程度かかるようで、閑散としているふもとの商店街は悲鳴を上げていた。

ところで、ワイドショーでコメンテーターが、「城は地盤が堅牢な場所を選んで築いているはずなのに」と発言していたが、城を築く際に考慮されるのは、戦略上の、あるいは領土を治めるうえでの要地であるかどうかであって、地盤ではない。そのことを踏まえたうえで、最初に松山城の特徴と魅力について確認しておきたい。