文化庁がすばやく工事を認められるかがカギ

文化庁とのやり取りとしては、これは通常のプロセスなのだそうだが、その結果が、事故につながってしまった。温暖化の影響等で、以前にくらべるとあきらかに異常気象が増えている。梅雨や台風、線状降水帯などによる豪雨の影響も、かつてとは桁が違う。

史跡である以上、工事を行う前には、事前にていねいな発掘調査を行うのは当然で、私自身、そうすべきだと考える。しかし、問題は時間のかけ方である。梅雨時の豪雨によって危険が生じたのであれば、ふたたび豪雨が予想される時期を迎える前に、工事を終えるのが当然だろう。梅雨によるダメージを修復する工事を、翌年の梅雨時に行うなど、言語道断である。

その結果、人命が失われてしまった。それに、史跡を守るための発掘調査に時間をかけているうちに、災害によって史跡が破壊されてしまったら、本末転倒もはなはだしい。

今年の7月は大雨の影響で、「日本三大平山城」のひとつに数えられる津山城(岡山県津山市)でも15日、二の丸の石垣が幅20~30メートル、高さ12~13メートルにわたって崩落した。同じ日には、鳥取城(鳥取県鳥取市)の三の丸御殿跡の法面のりめんも、一部が崩落している。津山城も鳥取城も国指定史跡である。

今後、異常気象によって、こうした事例は増えると思われる。少なくとも国指定史跡に関しては、いまのうちに危険な箇所がないか点検を急ぎ、工事が必要な箇所が見つかった場合、文化庁は許認可手続きを、これまでの何倍ものスピードで行う必要がある。史跡を守るために時間をかけた結果、史跡も人命も守れないのでは洒落にならない。

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