「文章力が低い」と思われる文章はどこに原因があるのか。横浜国語研究所代表取締役の福嶋隆史さんの書籍『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』(大和書房)より、わかりにくい文章の特徴についての解説をお届けする――。
読み手に対する意識が薄い
日々子どもたちの文章を添削していると、ある種の共通性が見えてきます。それは、「読み手に対する意識が薄い」ということです。
たとえば、こんな文。
(A)思い通りに試合で勝ててうれしくて、あいさつをする前についガッツポーズをしてしまって後からコーチに注意された。
一見して分かるのは「て」の多さです。私はこれを、「ててて文」と呼んでいます。
次の文とくらべてみてください。
(B)思い通りに試合で勝つことができたため、うれしくなり、あいさつをする前についガッツポーズをしてしまった。そのせいで、後からコーチに注意された。
ちょっとカタい印象は受けますが、これが「読み手を意識した文」であり、書き言葉とはこういうものでなければなりません。
「関係を意識しているかどうか」が違う
さて、何が違うのでしょうか。
端的に言うと、「関係を意識しているかどうか」の違いです。
思い通りに試合で勝つことができた
だから ↓ …………(できたため)①
うれしかった
だから ↓ …………(うれしくなり)②
あいさつをする前についガッツポーズをしてしまった
だから ↓ …………(そのせいで)③
後からコーチに注意された
だから ↓ …………(できたため)①
うれしかった
だから ↓ …………(うれしくなり)②
あいさつをする前についガッツポーズをしてしまった
だから ↓ …………(そのせいで)③
後からコーチに注意された
先の短い文の中に、実は①~③の3つの因果関係があります。