アウトレットに商品が山積みになっている

イタリアが誇る高級ファッションブランド「グッチ」が、凋落の憂き目を迎えている。

グッチはかつて、派手なデザインでブランドの方向性に革新をもたらしたクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ氏に導かれ、黄金期を謳歌した。だが、高価な割に長く手元に置きづらいデザインが災いするなど、デザインに飽きが指摘されていた。2022年11月にミケーレ氏の退任が発表されると、ブランドは次第に迷走を始めた。

ブルームバーグは4月、ブランドの投げ売りを報じている。グッチのブティックでは過去の製品が大幅に値引きされている。ある金曜の午後、パリ郊外のディズニーランド近くにある名もなきアウトレットでは、「大幅に値引きされた過去のシーズンの商品の山」に客たちが群がっていたという。

グッチのアウトレットに行列をつくる人々
写真=iStock.com/Audrius Venclova
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黄色のパンプス、毛皮のスリッパ、派手なジャケット、明るい緑のクラッチバッグなど、幅広いアイテムが山積みになっていたとする記事だ。ブルームバーグは、ルイ・ヴィトンやシャネル、エルメスといったライバルのハイブランドであれば、このようなセールは「考えられないことだろう」と論じる。

米ビジネス・インサイダーも、グッチ製品の安売りを取り上げている。鑑定付き高級品のオンラインマーケット「リアルリアル」では、同ブランドの象徴である「G」ロゴを組み合わせた「ダブルG」ベルトが200本も出品され、1本あたりわずか208ドル(約3万3000円)という安価で販売されていたという。

ブランドランキングは首位から11位に急落

個別の製品だけでなく、グッチのブランドイメージも大きく毀損したようだ。ファッションブランド格付けのLystインデックスによると、最新の2024年第1四半期、グッチのランキングはファッションハウス中11位にまで落ち込んだ。

ブルームバーグは、約1年前にはトップに君臨していたと指摘しており、大幅な下落となる。現在、1位のミュウミュウ、2位プラダ、4位ボッテガ・ヴェネタから大きく引き離され、8位バレンシアガや9位ヴァレンティノの後塵を拝す。

グッチはかつて、世界中のファッション愛好家にとって憧れの的であり、その独自のデザインとブランドストーリーテリングで知られていた。しかし、ここ最近は業績低迷とブランド価値の低下が海外で相次いで報じられるようになり、かつての栄光を失いつつある。