弱く遠いつながりを大事にすると、「ご縁」の質が向上する

たまたま参拝をおすすめするふたつめの理由は、つながりが弱くて関係の遠い人達の方が、つながりが強く関係の近い人達より優れた情報や機会をもたらすからです。

社会学者の安田雪氏(関西大学教授)の著書『人脈づくりの科学』(日本経済新聞社)によると、スタンフォード大学のマーク・グラノヴェッター教授がおこなった、ボストン郊外に住むビジネスパーソン282人が対象の調査で、就職ないし転職に役立つ情報は、「身近な人々からではなく、どちらかと言えば疎遠な人々から得られることが多かった」(同書)とのこと。

人間関係は、自然にゆだねると、同じような人達(社会的地位・学歴・年代・性別・職場・職種・宗教・趣味嗜好など)で固まり、共通の友人知人が多い人達との関わりが中心になります。しかし、そうした人間関係は自由が少なく、内部情報の交換に終始して、新しい情報や新しい機会をもたらすことは少ないです。

だから、少し意図して、少し努力して、つながりが弱く遠い関係の人を大事にすると、より質のいい情報やより豊富なチャンスに恵まれる傾向があります。

これは、特に「傍流」「非主流派」の人に当てはまります。

知らない町の社寺に参拝することの効果

もしあなたが組織の中心にいる人なら、同じような人達で固まり、共通の友人知人が多い人達と関わることで正解です。そうしないと中心から外れるので、他の選択肢はありません。

しかし、組織の中心から離れた「傍流」「非主流派」の人なら、つながりが弱く遠い関係の人を大事にすることで、色々な情報や機会に恵まれて影響力が増大します。

この人間関係の知恵を社寺参拝に当てはめると、普段参拝しない社寺に参拝したり、普段自分が興味を持たなそうな場所の社寺に参拝したりするとよいです。

なにせ神社もお寺もコンビニより多く存在しています。神道系の神社は8万624社、仏教系の寺院は7万6563寺(文化庁編『宗教年鑑』令和5年版)。とても全て回りきれません。

「この人、毎日のように神社行ってるな!」という人でも3000社も参拝していませんでした。私自身は数えていませんが、1000社も参拝しているかどうか?

八木龍平『成功するビジネスパーソンは、なぜ忙しくても神社に行くのか?』(PHP研究所)
八木龍平『成功するビジネスパーソンは、なぜ忙しくても神社に行くのか?』(PHP研究所)

あるいは、社寺「以外」で、社寺のような効果を持つ公園散歩を趣味にするのもおすすめです。公園もまた、公園のある地域への地域愛が増し、愛した対象のために貢献したい意欲が増して「愛を持って生きる力」が付きます。

日本人初の哲学者とされる西田幾多郎は、南禅寺と銀閣寺を結ぶ散歩道をよく歩いたことで、その道は「哲学の道」と名付けられました。発明王エジソンもタモリさんもよく散歩しますが、散歩といえば、最も多いのが公園です。

あなたの知らないまちの社寺や公園を出歩くと、自由な環境の中で、新しい情報や新しい機会がもたらされることでしょう。

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