「ネイティブのように」を目指す必要はない

英語を身につけるとはいっても、何もネイティブのような完璧な英語は必要ありません。私は31歳のときに英語の勉強を始めたわけですが、ネイティブには程遠いし、そこを目指していたわけでもありません。これが日本人の悪い癖で、何でもかんでも「勉強」という名前がつくと、100点じゃないと恥ずかしい、100点じゃないとダメだと思ってしまうんです。

私なんかグーグルでは、ネイティブ・スピーカーではないことを前面に出していました。ネイティブ・スピーカー同士で話が白熱すると、ディスカッションをしていても、誰が賛成で誰が反対なのか、わけが分からなくなります。

そこで、私が「タイム!」と叫ぶわけです。これが後に「ノリオタイム」と呼ばれるのですが、いったん誰が賛成で誰が反対なのかを手を挙げてもらって、整理するんです。で、だいたいの正反の形勢を見て、次のトピックに進んでもらいます。もうノリオタイムになると、みんな苦笑いですけど、私が入る会議はそうなるというのを認めさせないといけないんです。

ビジネスの現場で「I don’t know」は通用しない

多くの日本人は会議を止めることや、分からないと言うことがすごく恥ずかしいことだと考えています。でも、日本以外の国では、そんなことを思う人はいません。そして何よりも、分からないことがあるのに、聞かないという姿勢を心底嫌がります。

例えば、途中で話が分からなくなっているのに、そのまま聞いているとしましょう。そこでもしWhat do you think?(どう思う?)なんて言われたら、もうI don’t know. と言うしかなくなります。

I don’t know. と言うのは、英会話スクールや友達との会話では通用するかもしれませんが、ビジネスでは通用しません。What don’t you know?(何が分からないのですか?)と聞かれます。そこからはもう、I don’t know. は通用しません。きちんと何がどのように分からないのか、ついていけないのかを説明しないといけないんですね。

もしそこで説明できないと、これはもうチンパンジー扱いです。だから、何かが分からなくなったら、私みたいにとにかくタイムをかけるつもりでいてください。そこで、もし実は5分前くらいから何を言っているのかちんぷんかんぷんでした、なんて答えようものなら、大バッシングを受ける可能性があります。「なんでそのときに言わないんだ!」と怒られます。

だから、会議を止めるとか、分からないと言うことはまったく問題なく、逆にちゃんと聞いている証拠として奨励されるくらいです。

会議中に顔をしかめる人たち
写真=iStock.com/AndreyPopov
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