NPB入りを諦め、社会人野球を目指す選手も

スポンサーから用具をいただいたりはしますが、バットだけは自分で買わなくてはならない。給料が10万円の選手が試合に出て、バットを折ったとします。バットは1本で2万円はするから、その月のお小遣いはそれでおしまい。応援してくれるスポンサーを探すのも私の仕事ですので、スポンサー紹介をぜひよろしくお願いします。

野球教室もやりますよ。ただ、プロアマ規定という日本学生野球憲章が定めた規定があるから、現役のプロ選手が高校生、大学生を教えることはできない。中学生までは教えてもいい。だから、中学生までの野球教室は年中、やっています。野球の試合が終わった後、子どもたちを教える場合は地域貢献活動として無料ですが、通常の開催時はお金を取ります。

そうでないと、選手たちは生活できませんよ。選手たちはNPBを目指しているのですけれど、なかなか簡単ではありません。今では安定志向で社会人野球を目指す選手も増えました。

地域貢献、野球教室、球場におけるエンタテイメント化……。球団がやっている新しい施策は他のチームでもすでに手掛けている。

わたしが「それ以外に何かありませんか」と訊ねたら、竹森は「アジア、アジアマーケットです」と言い切った。

独立リーグのビジネスを成功させるために

【竹森】うちが加盟しているのは九州アジアリーグです。九州という地の利がありますから、私はアジアとアジアマーケットを見据えて球団を成長させていくしかないと思っています。堀江も賛成しています。

「NPBは結局、日本のことしか見ていない。野球はアジアではそれなりに好かれているスポーツだから、アジアマーケットを見ないとダメだ」

確かに、台湾、韓国、中国、フィリピン、インドネシアは野球がさかんです。まずはそういった国々と交流して、試合もやっていきます。

たとえば、うちの球団も、僕のような日本人が社長でなくともいいんですよ。半導体世界大手のTSMCなど日本の大企業よりも大きな会社がアジアにはいくつもあるのだから、そこに協賛してもらい、台湾の人が社長になってもいいわけです。アジア、アジアマーケットが何よりも僕らの強みです。

竹森社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
アジアには半導体世界大手のTSMC(台湾)など、時価総額ランキングに名を連ねる巨大企業も多い。そうした企業がスポンサーにつけば、選手の待遇改善にもつながると意気込む

九州アジアリーグは今年から、準加盟で佐賀が入りました。「佐賀インドネシアドリームズ」には特徴があって、インドネシア、フィリピン、シンガポール、スリランカ、日本の選手が所属していて、選手の半数はインドネシア人。佐賀の武雄嬉野を本拠地にしています。

佐賀インドネシアドリームズみたいな方向性はうちでも考えられます。現在も韓国やドミニカの選手が在籍していますが、多くのアジア人選手に入ってもらおうとも考えています。

堀江は言ってます。

「外国から人を連れてくるとか、就労させるとか上から目線じゃ長く働かないだろう。普通に一緒に働く。普通に一緒にビジネスするという感覚が大事なんだ」

私もそれが当たり前だと。選手やスポンサーに来ていただき、対等に商売をやっていきたい。それが新しいプロ野球ビジネスになると思ってます。

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