天然芝で、大型ビジョンを備える「フェニックス」の本拠地

「日本の野球をみても、パ・リーグの放映権は一本化できている一方で、セ・リーグはまだ一本化すらできておらず、だから放映権をまとめて売ることすらできていない状況です。『パ・リーグTV』はあっても、『セ・リーグTV』はないですよね。本当は、セ・リーグも放映権を一本化して、日本シリーズの放映権をサブスク事業者に高値で売るべきなんです。

これも、日本の野球オーナーたちにサラリーマン経営者が多いことの弊害です。僕が球団を買収しようとしたときも、渡辺恒雄さんというサラリーマン経営者は、球団を減らそうとしましたよね。本当は、球団を増やすべきだったんです。メジャーリーグは今も球団数を増やそうとしているのに、日本の野球界は既得権益に縛られていて、それができません」

さて、今年の5月末、わたしは北九州下関フェニックスが試合を行っているオーヴィジョンスタジアム下関へ出かけていった。球団社長の竹森広樹に話を聞くためだった。

同球場は収容人員が2万5000人、天然芝で、ナイター照明の設備も完備している。フルカラー大型ビジョンもある。郊外にある球場だけれど、設備は整っている。ただし、観客は多いとはいえなかった。フェニックスは下関も地元だから観客席のうち半分は埋まっていた。しかし、試合相手の大分Bリングスの観客席は空いていた。大分から下関までは遠いということなのだろう。

野球経験ゼロから球団経営を引き受けた

フェニックスの試合相手が福岡ソフトバンクホークスの3軍、4軍で、しかも休日であれば球場が下関であっても、多くの観客が来るという。NPBに属するチームには観客動員力がある。

竹森の本業は北九州のパチンコ・スロットチェーンだ。学生時代から「パチンコが大好き」だったから、経営するまでに至った。野球にはちっとも詳しくなかったが、堀江に魅了されて、球団経営を引き受けた。丸顔の人のいいおじさんである。

【竹森】パチンコ・スロット店「ベガ」グループの経営をやっています。私はパチンコ店に勤めていたのですが、そこが倒産した時、投資家から「竹森くん、社長をやったらどうか」と勧められて、今に至ります。横浜にも店舗があるので、全部で4店舗です。

堀江さん、とても魅力的じゃないですか。堀江さんの思考を深く知りたくて社長を引き受けました。初めてお目にかかった時、圧倒的な頭脳だな、と感嘆しました。知識に対して貪欲だし、先のことを見ている。それで、堀江さんのオンラインサロンに入会したんです。

竹森社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
学生時代はバドミントン部で、野球経験はなかったという竹森社長。「地元を活性化したい」と、新球団社長に名乗りを挙げた