“本拠地被り”では2軍にすら入れない

【竹森】日本のプロ野球界は問題が多いんです。独立球団は今、全国に30チームあります。NPBの3軍、4軍と交流戦はできますが、1軍、2軍とはできません。完全に地位が下なんです。

今年、新潟と静岡のチームがNPBの2軍と試合ができることになりました。静岡の「くふうハヤテベンチャーズ」、新潟の「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」です。しかし、彼らもまた1軍には行けません。NPBは1軍のチームを増やす気がないからです。

堀江は反対でしたが、私は北九州下関の方々に喜んでもらうべく、新潟や静岡と同じようにNPBの2軍を目指そうと思ったのです。しかし、これもまた規約があって、「NPBチームの本拠地がある県では新規参入は認められない」のです。

福岡県にはソフトバンクがあります。山口県には岩国市に広島カープの2軍本拠地があるからダメ。福岡と山口を本拠地にしているからNPBの2軍に入ることはできません。独立リーグにいるしかないのです。

うちのチームは昨年、2位でした。優勝は熊本の火の国サラマンダーズ。リーグで優勝した熊本は2023年、2022年と独立リーグ日本一決定戦で連続優勝しています。しかし、そこでおしまい。上に行けません。独立リーグのチームには出口がない。選手たちはドラフトでNPBへ行けるのですが、そこまでですね。ですから、堀江さんと一緒にこのチームをアジアに持っていこうと話しています。

竹森社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
NPB球団と同じ場所に本拠地を構えると、独立リーグのチームは2軍に入ることができない。このため、NPB球団がない静岡県「くふうハヤテベンチャーズ」、新潟県「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」だけが2軍で試合をしている

「年収80万円」独立チーム選手の給料事情

堀江が買収した福岡県のCROSS FMが従来のFM放送局とは違うことをやっているのと同様、フェニックスもまた新しい試みを導入している。

【竹森】DJ・GINTAさんというインフルエンサーを1日監督にしてゲームをやりました。こういうのはNPBではできないでしょう。

堀江は野球全体をエンタテイメントとして楽しんでもらおうと考えています。私も野球を知らなくても球場に来た人が楽しめるようにしたい。球場の外でバンドの演奏をやったり、チアのダンスを楽しんでもらったり、屋台を並べてフードフェスをやったり……。芝生でバーベキューができるとか、サウナと温泉を併設するとか。北海道のエスコンフィールドみたいにしたい。

また、掘江は「サッカーみたいに球場を経営者の社交場にしよう」と言っています。堀江がヨーロッパへサッカーを見に行った時、サッカー場が社交場になっているのを見たんです。そこにはVIPの部屋があって地域の社長たちが集まって情報交換をやり、新しい事業を生み出していた。それはやります。

地域貢献にも力を入れています。選手たちは率先して試合や練習の合間に地域の清掃活動、小学校や介護施設の訪問などをやっています。地域の祭りにも参加します。彼らの給料は月10万円が平均。シーズンが8カ月しかないから年収は80万円です。