市販のパッケージ野菜は、どのように活用するといいか。野菜研究家の梅田みどりさんは「コンビニやスーパーなどで販売されている生野菜のサラダは『栄養が少なそう』といった不安を抱えている人も少なくないようだが、そこまで不安になる必要はない。確かに水洗いされる工程で、水溶性の栄養素が流れ出るが、すべての栄養がなくなるわけではない。千切りキャベツの場合、洗った後でも60%以上の水溶性ビタミンが残っていることが確認されている」という――。

※本稿は、梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

冷蔵庫に陳列された市販の野菜サラダ
写真=iStock.com/monticelllo
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コンビニやスーパーのサラダは安全なのか

本稿では、カット野菜を題材にして野菜加工の世界を解説していきます。

カット野菜と言えば、透明なカップや袋に入ったキャベツやレタスなど、生で食べられる「パッケージサラダ」が人気です。コンビニやスーパーなどでよく見かける商品なので、一度は試したことがある人は多いのではないでしょうか。

しかし、「生野菜のサラダは栄養が少なそう」「洗うときに使用される薬剤が気になる」といった不安を抱えている人も少なくないようです。

まずお伝えしたいのは、コンビニやスーパーのサラダは食べても安全ですし、そこまで不安になる必要はないということです。その理由について、パッケージサラダの工程から説明していきます。

私が数年前に訪れたカット野菜工場で、目に飛び込んできたのは大きな浴槽が並んでいる光景でした。

まず、キャベツやレタスが丸ごとのまま水洗いされ、次の浴槽では1枚ずつはがした葉を水洗いします。その後、野菜を切り、次亜塩素酸ナトリウムを溶かした水にくぐらせます。最後は、野菜をすすぐために再度水洗いされ、脱水して包装されます。

この工程で水溶性の栄養素が流れ出ますが、すべての栄養がなくなるわけではありません。千切りキャベツの場合、洗った後でも60%以上の水溶性ビタミンが残っていることが確認されています。

殺菌用に使われている次亜塩素酸ナトリウムは、水道水にも使われているものです。これは、微生物や菌を減らして食中毒のリスクを防ぎ、安全な食品を作るために欠かせないものです。