「オタク」を生む教育が必要な理由

第一に、日本の受験システムが筆記試験で合否を判定するため、いわゆる偏差値教育が生まれ、若者が天から授かった得意な能力を十分に発揮できなくなっている。この点について、小林りんさんの『世界に通じる「実行力」の育てかた』(日本経済新聞出版)からの例を紹介しよう。

軽井沢市に世界各国から学生を集めた国際高校(ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)を設立した小林さんは、高校時代、学級委員などで活躍し、文系科目は成績も十分だったにもかかわらず、「あなたの数学の成績では優秀な大学には行けません」と言われ、弱点ばかりを見る教育方針に疑念を抱いた。そこで小林さんは、高校を中退しカナダに留学、さらにユニセフなど海外での経験を経て新しい学校創立の構想を生み出したという。