超一流を育てる上司は何をしているか。物流エコノミストの鈴木邦成さんは「できる上司、完璧な上司というのは、実は部下としては少々やりにくいところがある。優秀な上司に求められる条件というのは、意外なことに『その人が優秀である』ということとはちょっと違う。大谷翔平選手の最初の上司であった栗山英樹氏も藤井聡太八冠の師匠である杉本昌隆八段も、その実績は部下にあたる大谷選手と藤井八冠におよぶとは言い難い。だが二人とも『自由にやらせた』という点で共通している」という――。

※本稿は、鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

晴れた空の地面に置かれたグローブとボール
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優等生が好きな上司と劣等生が好きな上司

上司にとって「理想の部下」とはどんな部下なのでしょうか。

理想かどうかということではありませんが、「どのような部下を好むか」は2種類に分けられます。

それは「優秀な部下が好きな上司」と「できない部下が好きな上司」です。

優秀な部下が好きな上司というのは至極当たり前でしょう。誰でもしっかり仕事をこなしてくれる部下がいれば「鬼に金棒」と考えることになるのですから。

しかし、ある意味、不思議に思えますが「できない部下を好む上司」というのが一定数いることも否定できません。

プロ野球の名監督として知られた野村克也は「再生工場」の異名を持つほど、ダメになった選手を立ち直らせたことで知られています。

またダメになった選手だけでなく、くすぶっていた選手、才能を十分に発揮できていなかった選手を一流に育て上げるのを得意としていました。

「それなら最初から優秀な選手をそのまま育てればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、そうではなくて「できない選手を覚醒させる」というところに才能があったようなのです。