※本稿は、齋藤孝『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「天気の話」を舐めてはいけない
雑談では「天気の話」もおろそかにはできないものです。
なぜなら、天気の話も、相手の反応や相性をはかる「試金石」みたいなものだからです。
別に、お互い天気のことをそれほど話したいと思っているわけではないけれども、話題としては一番当たり障りのないもので、雑談のうちにすら入らないかもしれません。
それでも「暑いですね」「はい、暑いですよね」と、なんてことのない話を数秒することで、「機嫌がよさそうだな」「今日は急いでいるな」「ちょっとニコッとしてくれた。少し話せるかな」などと、お互いの状態や気分、相性のようなものまで感じ取ることができるのです。
天気の話題は、コミュニケーションの入口であり、相手に「お邪魔してもいいですか」とたずねる、ノックのような役目を持っています。それさえも交わすのが難しい相手とは、距離を置いてもいいかもしれませんね。
初対面の人と話すのが苦手という人は、「話が苦手」なのではなく、「最初のきっかけがうまくつかめない」というだけの話です。
雑談のネタを用意しておいて、はじまりの会話をうまく転がすことができれば、あとはスムーズに回りはじめます。
相手が振ってきたネタは否定しないようにしましょう。
「休みの日は何してる?」への気の利いた返し
「いいですね」
「面白いですね」
「どんなところが好きですか?」
「こういうのもありますよね」
などと、同調して話を広げていってください。
「私も、私も」と同調し合いながら話を盛り上げることは、誰でもできて、簡単に場が盛り上がります。
よくある会話の例として「休みの日は何してる?」というフレーズがあります。
そのとき、「いや、特に何も……」と答えたり、ちょっと探りを入れられているようで嫌な感じがしたりする人もいるようです。
しかし、質問しているほうは、ただコミュニケーションをとりたくて聞いているだけで、あなたのプライベートを知ろうとしているわけではありません。すぐに思いつく話題だから、あまり意味を考えずに何気なく聞いてしまっていることが大半でしょう。
それに対して「何してたかな……」と真剣に答えようとしたりすると、「こんな話をしても面白くないかも」「こんな話をしてどう思うだろう」と考えて疲れてしまいます。
ここでの正解は、「自分が話したいことを話す」です。
「今ハマっていること」だったり、「海外旅行をしたいと思って、外国のことを調べていました」というように、そのとき自分がやりたいと思っていることがあれば、それを話すのがよいと思います。